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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    走行性能が高いハッチバック トヨタ「カローラ スポーツ」(Vol.552)

    • 運転の楽しさをより味わえるハッチバック車が最初に登場。12世代目の新型カローラ
      運転の楽しさをより味わえるハッチバック車が最初に登場。12世代目の新型カローラ

     トヨタ自動車の小型車「カローラ」に、ハッチバックタイプ「カローラ スポーツ」が登場した。カローラには、4ドアセダンの「アクシオ」や、ステーションワゴンの「フィールダー」があるが、それらに先駆けての販売だ。12世代目カローラのトップバッターとしてハッチバックタイプを販売したのには、走りのよいカローラを印象付けたいという狙いがある。

    • コネクティッド時代を象徴するように、ナビゲーション画面が大きく、またダッシュボード上の見やすい位置に配置された。しかし、地図の現在位置表示の矢印が助手席側へやや寄ることになり、視認性に課題を残す
      コネクティッド時代を象徴するように、ナビゲーション画面が大きく、またダッシュボード上の見やすい位置に配置された。しかし、地図の現在位置表示の矢印が助手席側へやや寄ることになり、視認性に課題を残す

     国内で販売されてきたカローラは、これまで5ナンバーの車体寸法を基本としてきたが、「カローラ スポーツ」は車幅が1.7メートルを超えたため、3ナンバー車となった。これまで販売してきた同タイプの「オーリス」に相当する車種と言えるが、その後継ではなく、オーリスは今後なくなる予定だ。

     エンジンは、排気量1200ccのガソリンターボと、プリウスで使われている1800ccエンジンを使うハイブリッドの2種類である。その両方に試乗した。

     まず感じたのは、走行性能の高さだ。がっしりとした車体剛性を、運転しはじめたところから体感でき、欧州車の味わいがある。それによって、カーブなどでの走行安定性も高いと感じた。一方で、乗り心地がやや硬めであることはよいが、路面の影響を受け細かい振動が生じた際に、そのビリビリする振動の収まりがあまりよくなかった。同じ「カローラ スポーツ」で別の機会に乗った、価格が安く、細身のタイヤ寸法のクルマを運転した際には、そうした振動をしなやかに収束させていたので、今回試乗した車種のタイヤ寸法が扁平(へんぺい)すぎるのかもしれない。あるいは、扁平タイヤへの適合がまだ道半ばなのではないか。

    • ガソリンターボエンジンは、発進時にはや力不足を感じさせるところがある
      ガソリンターボエンジンは、発進時にはや力不足を感じさせるところがある
    • スマートフォンを使い、クルマと会話するように情報のやり取りができる
      スマートフォンを使い、クルマと会話するように情報のやり取りができる

     ガソリンターボエンジンは、過給エンジンらしいのびやかな回転の高まり方をし、胸のすく運転感覚を味わえる。だが、もともと排気量が小さいので、過給が機能し始める手前の発進のところでは、やや力の物足りなさを覚えた。国内の都市部では、発進・停止を繰り返す運転が多くなるので、そこに不満を感じるかもしれない。

     ただ、マニュアルシフトの変速機と組み合わせれば、半クラッチ操作の仕方で力不足を補えるかもしれない。走り出した後も、少しエンジン回転を高めに維持するギアの選び方をすれば、力不足感は気にならないのではないかと思う。試乗車は、無段変速機(CVT)との組み合わせであったが、海外ではまだマニュアルシフトの需要は多い。

     ハイブリッド車(HV)は、ガソリンエンジンの排気量そのものが大きいし、モーター駆動で力を補うこともできるので、日本で乗るならHVのほうが合っているかもしれない。

    • スポーツシートは、肩の部分が張り出しているため斜め後方の視界に制約がある
      スポーツシートは、肩の部分が張り出しているため斜め後方の視界に制約がある
    • スポーティシートは、座り心地が良く、また体の支えも的確だった
      スポーティシートは、座り心地が良く、また体の支えも的確だった

    • 後席の居住性は十分に確保されている
      後席の居住性は十分に確保されている
    • 荷室内に凹凸がなく、荷物の積み下ろしはしやすそうだ
      荷室内に凹凸がなく、荷物の積み下ろしはしやすそうだ

     HVの上級車種「G“Z”」に標準となる「スポーツシート」は、肩部分が左右に張り出した形をしていて、それにより斜め後ろの視界が制約を受ける。また、体への適合も十分でないと感じる部分があった。それに対し、他の車種で使われている「スポーティシート」のほうは、視界の制約が少なく、体に触れるクッションの感触がよく、体の支えも的確に感じた。

     新型カローラハッチバックは、世界で販売されることを前提としたグローバルカーだ。特に欧州市場では、同タイプが自動車メーカーの主戦場となっている。このため、世界5大陸で100万キロの試験走行をしながら開発されたといい、基本性能の高さは感じた。だが、国内の交通や道に対しては、もう少しの熟成が望まれるところだ。

    2018年09月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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