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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    素直にいいクルマ 長距離移動も快適 ボルボ「V60」(Vol.553)

    • 今回は、ガソリンエンジン車で上級グレードの「V60 T5 インスクリプション」に試乗した。今後、プラグインハイブリッド車も導入される予定
      今回は、ガソリンエンジン車で上級グレードの「V60 T5 インスクリプション」に試乗した。今後、プラグインハイブリッド車も導入される予定

     スウェーデンのボルボのステーションワゴンである「V60」が、フルモデルチェンジをして2世代目となった。

     前型は、荷室の容量や積載時の使い勝手より、リアゲート付近の造形がよりスポーティーに見える、傾斜の強い、スポーツワゴン的な特徴を持っていた。同じスタイルは、より上位の車格となる「V90」にも採り入れられている。新型は、既存の「V70」に通じる伝統的なステーションワゴンの姿に戻り、荷室容量を十分に確保している。これは、新型が前型の後継車というだけでなく、販売が終了した「V70」の代替にも適応できるようにしたためだ。

     とはいえ、新型は、一昨年発売の「XC90」から導入されている新しいボルボの外観デザイン手法を採り入れ、非常に存在感があり、かつ精悍(せいかん)な印象を与える造形となっている。車体寸法では前型より車幅を狭めたにもかかわらず、上級車としての風格を備える。

    • 前型のV60と異なり、ステーションワゴンらしい四角い印象を与える後ろ姿。その分荷室容量が前型に比べ増えた
      前型のV60と異なり、ステーションワゴンらしい四角い印象を与える後ろ姿。その分荷室容量が前型に比べ増えた
    • 荷室は余計な出っ張りがなく、奥行きも十分にあり、たくさん荷物を積めそうだ
      荷室は余計な出っ張りがなく、奥行きも十分にあり、たくさん荷物を積めそうだ

    • 試乗車には、注文装備となるチルトアップ機構付き電動パノラマ・ガラス・サンルーフが装備されていた
      試乗車には、注文装備となるチルトアップ機構付き電動パノラマ・ガラス・サンルーフが装備されていた

     この車幅を抑えた造形が、運転しやすさにもつながっている。もちろん、単に寸法の大小だけで運転のしやすさが決まるわけではないが、近年の新車はモデルチェンジをするたびに車体が大型化し、それにともない、すれ違いに気を使ったり、駐車枠ぎりぎりになったり、国内の道路事情や駐車場事情に適合しにくくなってきている。

     新型の車体全幅1850ミリは、国内での運転しやすさの上限に近い車幅ではないかと思う。おかげで試乗中に車幅を気にすることはほとんどなく、クルマの性能を存分に試し、確認することができた。

     試乗車のエンジンは、排気量2000ccの直列4気筒ガソリンターボで、発進から軽くアクセルペダルを踏み込むだけで滑らかに動き出し、そこからの加速も十分な力があって、自然に交通の流れにのせることができた。また、静粛性にも優れる。乗り心地も快適で、素直にいいクルマだと思わせる第一印象をもたらした。

    • 明るい内装色を選べるのもボルボ車の特徴の一つ。前方の視界がよく、運転しやすい運転席
      明るい内装色を選べるのもボルボ車の特徴の一つ。前方の視界がよく、運転しやすい運転席

     XC90から、ボルボはエンジンや車体、サスペンションなどを新たな設計とし、製造の効率を高めながらクルマ全体の性能を高める戦略をとっている。その新しく導入した技術ひとつひとつが成熟し、こなれた印象を新型車はもたらしている。

     ステーションワゴンは、4ドアセダンに比べ荷室部分がより大きくなるので、運転していてやや反応の鈍さを覚える車種もあるが、新型車はあたかもセダンのような軽快な走りを見せ、運転して楽しいクルマでもあった。

     新しい外観デザインにより、前後のタイヤ間のホイールベースが延長され、後席は足元の空間が広がり、ゆったりと座ることができる。前席の下へ指先を差し入れることができる空間の余裕もあり、座りやすさに貢献している。後席でも静粛性はすぐれ、前席の人との会話を楽しめるだろう。前後席ともに、長い移動をする場合も快適さを実感できるのではないか。

    • ナッパレザーという上級の本革仕様の座席は、しっかりとした座り心地と、適切な体の支えで快適に運転できる
      ナッパレザーという上級の本革仕様の座席は、しっかりとした座り心地と、適切な体の支えで快適に運転できる
    • 後席空間は広く、くつろいで座れる。静粛性も高い
      後席空間は広く、くつろいで座れる。静粛性も高い

    • エンジンは、排気量2000ccの直列4気筒のガソリンターボ。最高出力は254PSで、トランスミッションは8速AT。燃費はJC08モードで12.9km/L
      エンジンは、排気量2000ccの直列4気筒のガソリンターボ。最高出力は254PSで、トランスミッションは8速AT。燃費はJC08モードで12.9km/L

     今回試乗したのはガソリンエンジン車だが、今後、プラグインハイブリッド車も導入される予定となっている。ボルボといえば、ステーションワゴンの印象を持つ人も多いかもしれない。その伝統的なボルボのステーションワゴンとして、新型V60は、試乗後に快い気分を残す好印象のクルマであった。

    2018年10月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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