前衛的なデザイン 実用性よりも独創性 「DS7クロスバック」(Vol.554)

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「DS7クロスバック」の上級車種である「グランシック」に試乗した
「DS7クロスバック」の上級車種である「グランシック」に試乗した

 フランスのDSオートモビルとして初のスポーツ用多目的車(SUV)である「DS7クロスバック」が7月に発売された。DSは、もともとシトロエンの上級車の車名として使われたが、2014年にシトロエンから分かれて独自のブランドとして存在する。「DS7クロスバック」は、その最上級車種に位置付けられる。

 車体の寸法は全長が約4.6メートル、全幅は約1.9メートルと余裕のあるサイズだ。都会で見かけることの多くなった同じ企業グループ「PSA」(旧プジョー・シトロエン・グループ)のSUV「プジョー3008」と比べても、やや大柄になる。今回試乗したのは、グランシックと呼ばれる上級車種で、エンジンはガソリンターボとディーゼルターボの2種であった。

しっかりとした座り心地で運転姿勢を支えてくれるレザーシート。そのクッションにも造形が施されている
しっかりとした座り心地で運転姿勢を支えてくれるレザーシート。そのクッションにも造形が施されている
前衛的な造形を特徴とした室内は独特な雰囲気を持つ
前衛的な造形を特徴とした室内は独特な雰囲気を持つ

荷室は床板をはね上げることができ、大きくない荷物は床下にも収納できる
荷室は床板をはね上げることができ、大きくない荷物は床下にも収納できる
後席は、横幅の広さを実感できる
後席は、横幅の広さを実感できる

ダッシュボード中央のアナログ時計。その下のDSのロゴの入ったスイッチがイグニッション(スタートのスイッチ)
ダッシュボード中央のアナログ時計。その下のDSのロゴの入ったスイッチがイグニッション(スタートのスイッチ)

 PSAの高級車種であるDSとして、「DS7クロスバック」の特徴となるのは、内外装の前衛的な造形にある。DSのロゴを含め、ダイヤモンドとも比較されるほどのカット技術を駆使し、輝くような光沢をもつ部品が少なくない。室内のダッシュボード中央にあるのは、アナログ時計だ。だが、シフトレバー近くのパワーウィンドースイッチなどは、見た目のきらびやかさはともかく、操作しにくく、実用性に欠けるところがある。ドイツ車の機能的な室内に比べ、デザイン優先の雰囲気がある。好き嫌いの分かれるところだろう。

スイッチやシフトレバーは、使い勝手がいまひとつだった
スイッチやシフトレバーは、使い勝手がいまひとつだった

 ガソリンターボエンジンの排気量は1600ccと小さいが、低い回転数から力をしっかり出し、十分な加速を得られた。高回転では伸びやかに速度を上げ、運転が気持ちいい。さらにアクセルペダルを全開域まで踏み込んでみたが、澄んだ排気音とともに回転限界まで回り切り、胸のすく思いをさせる。

 ディーゼルターボエンジンは、排気量が2000ccとなり、こちらもディーゼルエンジン特有の出足のよさを伝えてきた。軽くアクセルペダルを踏み込むだけで思い通りの速度に上げることができ、運転は楽だ。室内にいると、ディーゼルの振動騒音はあまり感じないが、車外ではそれなりにディーゼル音が伝わる。高級で洒落(しゃれ)た造形を特徴とするクルマには似合わない気がする。エコカー補助金や減税を利用すると、ガソリン車とディーゼル車の価格差はかなり縮まるとの説明だったが、よほど遠出の多い人でなければ、ガソリン車の走りや運転感覚のほうがよりよく感じられ、それが印象に残った。

ガソリンターボエンジン。快活な走りが心地よかった
ガソリンターボエンジン。快活な走りが心地よかった

 ガソリンターボエンジン車の運転時に、走行モードを切り替えてみた。通常のノーマルのほか、コンフォート、スポーツ、エコと4段階のモードがある。スポーツではハンドルの操作が明らかに重くなり、運転感覚の違いを伝えてくるだけでなく、エンジン音をスピーカーで増幅する演出もする。コンフォートではフロントウィンドーに設置された単眼カメラで前方の路面を認識し、ダンパーを電子制御して揺れを制御する機能が働く。路面に大きめのうねりがあっても姿勢を安定させる効果があるとの説明だったが、今回の試乗ではあまり体感できなかった。ただ、試乗した敷地内にあった石畳のような路面では振動が和らいだ印象だ。欧州には昔ながらの石畳が残されており、現地での日常的な利用では快適さが増すのではないか。

 車体が大きいだけあって、室内は十分なゆとりがあり、ことに横幅の広さに上級車種の余裕を感じるが、対向車とすれ違う際には、その車幅ゆえにより一層の注意を払わざるを得なかった。

 前衛的な造形を優先したDS7クロスバックは、合理的な実用性よりも独創性を好む人に向いているのではないかと思う。

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45502 0 インプレッション 2018/10/23 05:20:00 2018/10/23 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181019-OYT8I50037-T.jpg?type=thumbnail

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