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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    悪路走破能力の高さを実感 「ジープ・ラングラー」(Vol.555)

    • 11年ぶりにモデルチェンジをしたジープ・ラングラーの進化は、想像以上だった
      11年ぶりにモデルチェンジをしたジープ・ラングラーの進化は、想像以上だった

     「ジープ」は、米クライスラー社(現在はフィアット・クライスラー・オートモービルズ)が1941年、軍用に開発した。45年に民生の車両が生まれ、そのライセンス生産を一時、三菱重工業(現三菱自動車)が行うなど、日米における四輪駆動車の代表的存在となる。後年、スポーツ用多目的車(SUV)としての「ジープ チェロキー」なども生まれたが、ジープ本来の姿を色濃く残すのが「ジープ・ラングラー」だ。今回、11年ぶりにフルモデルチェンジをし、日本市場にも導入された。

    • 屋根は左右別々に取り外せ、左右のドアも外すことができる
      屋根は左右別々に取り外せ、左右のドアも外すことができる
    • 荷室のドアは、まず下側を手前に引くヒンジ式ドアを開け、そのあとリアウインドーをはね上げる
      荷室のドアは、まず下側を手前に引くヒンジ式ドアを開け、そのあとリアウインドーをはね上げる

     外観を一見したところ、どこが新しくなったかわかりにくいが、たとえば、立った姿のフロントウィンドーも傾斜がやや強められ、空気抵抗を減らす努力がはらわれている。あるいは、ラジエーターグリルの7本スリットは伝統のままだが、ヘッドライトがやや大きくなったことで両端のスリットが湾曲している。

    • 新開発の直列4気筒ガソリンターボエンジンは、悪路走行で粘り強い力を発揮した
      新開発の直列4気筒ガソリンターボエンジンは、悪路走行で粘り強い力を発揮した

     性能面では、これまでのV型6気筒ガソリンエンジンに加え、新開発された直列4気筒ターボのガソリンエンジンが選べるようになった。ともに悪路走破性能が一層高められている。今回は、舗装路とともに未舗装路の難所も試乗する機会を得た。


    • 舗装路では、やや乗り心地のよくなかった2ドア車
      舗装路では、やや乗り心地のよくなかった2ドア車

     新型の基本は4ドアだが、受注生産モデルの2ドアもある。2ドアは排気量3600ccのV型6気筒エンジンが搭載されている。こちらは、舗装路のみでの試乗であったが、走行全般に車体の振動を強く感じ、あまり快適ではなかった。2ドアは、全長が約4.3メートルと短いため、前後のタイヤ間の距離も短くなっている。悪路走破性を重視するクルマとしてのつくりが、逆に舗装路での快適性を減殺してしまうのかもしれない。

     一方、4ドアのほうは全長が約4.8メートルと長くなり、前後のタイヤの距離も60センチ以上伸び、路面の凹凸に対する車体振動が穏やかになるのだろう。ごく一般的な乗用車の乗り心地で、快適だった。ともに、SUVと同じで運転席の着座位置が高く、さらにフロントウィンドーが立った外観でもあることから、前方視界がよく、運転しやすかった。

    • 悪路でまさに本領を発揮した新型ジープ・ラングラー
      悪路でまさに本領を発揮した新型ジープ・ラングラー

     そして、未舗装路に入ってから、まさにジープとして面目躍如たる走行性能を発揮したのであった。未舗装路で運転したのは、4ドアの直列4気筒2000ccガソリンターボエンジン車である。近年、どのSUVにおいても、未舗装路の特設コースなどで多くの人が安心して走れる電子制御機能を装備するようになっている。新型も、そうした電子制御装置を装備しているが、今回は作動させなくても、自分が体験した中でも難所といえる悪路を平然と走破したのであった。

    • いかにも実用本位の運転席。前方の見通しもよい
      いかにも実用本位の運転席。前方の見通しもよい
    • トランスミッションのシフトレバーの左脇にあるのが、四輪駆動方式の選択レバー。フルタイム四輪駆動のほか、パートタイム式の4L(低速の四輪駆動)と2L(後輪駆動のみ)に切り替えできる
      トランスミッションのシフトレバーの左脇にあるのが、四輪駆動方式の選択レバー。フルタイム四輪駆動のほか、パートタイム式の4L(低速の四輪駆動)と2L(後輪駆動のみ)に切り替えできる

     4Hという、前後の駆動を連結した状態にしているとはいえ、たとえば、急な上り坂で、深いわだちがぬかるみ、いかにもタイヤが滑りそうな場所でも、オートマチックのDレンジのままアクセルペダルを慎重に踏んでゆきさえすれば、ぐいぐいと粘り強く上っていく。次に、奈落の底に落ちるかと思うほどの急な下り坂においても、ブレーキペダルを踏んで速度調節しながら降りてゆくことができる。一般的に、急な下り坂でブレーキを踏むとタイヤが滑り、クルマが斜めになってしまったりする恐れがあることから、多くのSUVが「ヒルディセントコントロール」という電子制御機能を使い、エンジンブレーキで速度を自動調整しながら下ることが多い。今回は、そのヒルディセントコントロールを作動させなくても、Dレンジのまま、アクセルとブレーキの使い分けで走れてしまうのである。もちろん、速度は極低速で、慎重な操作が求められるのはいうまでもない。

     近年は、舗装路での快適性や、高速道路での走行性能を特長とするSUVが増えているが、あくまで四輪走行が本領を発揮する悪路での性能を重視したジープ・ラングラーのすごさを改めて実感したのであった。

     ※メーカーによって名称が異なります

    2018年11月06日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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