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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    快適に移動することを重視、世界初の技術も レクサス「ES」(Vol.557)

    • バージョンLは、快適な乗り心地と素直で的確な運転感覚を併せ持つ上質な4ドアセダンだった
      バージョンLは、快適な乗り心地と素直で的確な運転感覚を併せ持つ上質な4ドアセダンだった

     トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」の「ES」が、日本市場にはじめて登場した。「ES」は、米国でレクサスブランドが誕生した1989年から販売されてきた。同じクルマが、日本ではトヨタの「カムリ・プロミネント」4ドアハードトップ、「ES」の2~4代目は「ウィンダム」の名で国内販売されてきた。5世代目以降は国内で販売されていない。今回、7代目がレクサス「ES」として国内販売されることになった。

     車種は、「ES300h」というハイブリッド車のみで、標準車に加え、バージョンLとFスポーツの3グレードがある。バージョンLは標準より豪華な内装で、Fスポーツはより走りを重視した仕様である。今回試乗したのは、バージョンLとFスポーツだ。

    • 「カムリ」と同じハイブリッドシステムを搭載するが、ES用の調整が施され、上質な走りをもたらす
      「カムリ」と同じハイブリッドシステムを搭載するが、ES用の調整が施され、上質な走りをもたらす

     車体は、すでに国内で販売されている「GS」とほぼ同じ大きさだが、「GS」が後輪駆動であるのに対し、「ES」は前輪駆動(FF)で、トヨタの「カムリ」がベースになっている。

     FFにより、後席の居住性が広くなり、レクサス最上級車「LS」の後席に乗っているかのように快適だ。乗り心地はしなやかで、ことにバージョンLは余計な振動を伝えてこない優雅さもある。ハイブリッド車のため室内も静かだ。Fスポーツになるとやや硬めの乗り心地となるが、それでも、「GS」に比べ、走り方はマイルドで、今回300キロほどの距離を移動したが、疲れは少なかった。

    • 前輪駆動車であることもあり、荷室は深く、奥まで広い
      前輪駆動車であることもあり、荷室は深く、奥まで広い
    • しなやかな走りと静粛さにより、後席の快適性は素晴らしい
      しなやかな走りと静粛さにより、後席の快適性は素晴らしい

     座席は、体に密着する作りで、クッションは適度に軟らかく、運転中に体がずれることがないことも、疲れにくさにつながっているのだろう。

     穏やかで快適な乗り心地がいちばんの特長だが、また、運転そのものも決して退屈なことはない。「カムリ」のハイブリッドシステムがベースとはいえ、「ES」のために調整され、より上質で滑らかな走りをもたらす。モーターによる補助をうまく制御し、エンジンを高回転で回さなくても、心地よく速度を上げていき、室内の静粛性も保たれる。

     ハンドル操作に対する動きも素直で、快い。スポーツカーを運転するような刺激的な雰囲気とは別の、意のままにクルマが走ってくれるうれしさがある。

    • 運転席は、体にぴったりとそう形状で、運転中も姿勢が崩れず、クッションは適度に軟らかく、快適な座り心地だ
      運転席は、体にぴったりとそう形状で、運転中も姿勢が崩れず、クッションは適度に軟らかく、快適な座り心地だ
    • 運転席からの見通しは良いが、やや車幅感覚がつかみにくかった
      運転席からの見通しは良いが、やや車幅感覚がつかみにくかった

    • バージョンLにメーカー注文装備となるデジタルアウターミラー。カメラの映像を室内の液晶画面に映し出す
      バージョンLにメーカー注文装備となるデジタルアウターミラー。カメラの映像を室内の液晶画面に映し出す

     新技術として、世界で初めて「デジタルアウターミラー」がバージョンLにメーカー注文装備として設定されている。これは、通常のドアミラー部分にカメラを設置し、その映像をフロントウィンドーの右支柱下部にあるディスプレーに映し出し、後方確認をする装備だ。運転状況に合わせて細やかな配慮もあり、ウィンカーを作動させると画角が広がり、より広範囲の後方を確認できたり、フロントサイドウィンドーが曇っていても後方確認ができたりするなど、後方確認をより確実にできる。

     一方で、運転席右側のディスプレーが運転者の位置に近いため、焦点を合わせるのに遠近調節を素早く行えない老眼の筆者には、やや認識のしにくさを覚えた。また、対向車が脇を通り抜けた後の映像がディスプレーにはっきり映し出されるので、別の何かが急接近してきたのかと錯覚することもあった。

    • 4ドアセダンでありながら、横から見るとクーペのようなスタイル
      4ドアセダンでありながら、横から見るとクーペのようなスタイル

     世界初の装備なので、今後改良されていくのは間違いないであろう。従来よりも的確に後方認識ができる技術の進化を目の当たりにすると、将来の自動運転の技術水準に近づきつつあるということも実感した。

     ESの日本導入により、ほぼ同じ車格の4ドアセダンで、運転の楽しさを追求した「GS」と、日々快適に移動することを重視した「ES」という選択肢が得られたことになる。的確な走りと、心地よさにおいて、レクサス「ES」は印象深い一台であった。

    2018年12月04日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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