実用性の高いSUVだが、さらなる熟成が必要 アルファロメオ「ステルヴィオ ディーゼル」(Vol.564)

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「ステルヴィオ」のディーゼル搭載車は、「2.2ターボディーゼルQ4」という1車種のみだ
「ステルヴィオ」のディーゼル搭載車は、「2.2ターボディーゼルQ4」という1車種のみだ

 イタリアの「アルファロメオ」のSUV(スポーツ用多目的車)「ステルヴィオ」に、ディーゼルエンジン車が追加となった。同じくディーゼルエンジン搭載車があるマツダの「CX‐5」と比べてみると、全長、全幅ともに少し大きめではあるものの、ほぼ同じサイズのSUVといえる。

 「ステルヴィオ」のディーゼルエンジンは、排気量が2200ccの直列4気筒で、ターボチャージャーによる過給が行われる。最高出力の210馬力は、クラストップの実力だ。燃費は、国際基準の測定法による新表示「WLTCモード」で1リットルあたり16キロである。

 このディーゼルターボエンジンはアルミニウム合金で作られ、軽いのが特徴だ。運転の手応えや爽快さを達成するため、車両の前後重量配分を50対50とすることにこだわった結果だ。実際の前後重量配分は、前が930キロ、後は890キロとなっている。

燃料の軽油(給油口は左)のほかに、排ガス浄化のための尿素水溶液の補充が必要になる
燃料の軽油(給油口は左)のほかに、排ガス浄化のための尿素水溶液の補充が必要になる
アルミニウム合金のシリンダーブロックを使い、軽量化が図られたエンジンは、8速オートマチックトランスミッションとの組み合わせだ
アルミニウム合金のシリンダーブロックを使い、軽量化が図られたエンジンは、8速オートマチックトランスミッションとの組み合わせだ

 また、バランスシャフトを装備したことで、ディーゼルエンジン特有の振動や騒音を抑えている。室内にいると、振動と騒音はあまり気にならない水準だ。アクセルペダルを踏み込めば、軽やかに発進して加速していく。低い回転域から大きな力を出せるディーゼルターボエンジンならではで、ペダルを一生懸命に踏んで加速させるといったような力みもなく運転できるので楽だ。高速道路も快適に走ってくれた。

後席の乗り心地と静粛性は、前席を上回る
後席の乗り心地と静粛性は、前席を上回る

 印象深いのは後席で、前の席より静かで、座り心地も快適だ。足を床へ下ろした着座姿勢が取れるので、長距離の移動でも疲れにくいのではないか。

 ただ、渋滞などで時速20キロほどのダラダラとした走りになると、ディーゼルエンジン特有の振動が気になり、ガラガラという騒音がやや耳に障る。また、車外に出ると、アイドリング時にも騒音はあり、早朝や深夜の住宅地などでは少し気になるかもしれない。

 とはいえ、近年のディーゼルエンジン車は全般的に快適性が向上しており、「ステルヴィオ」はなかでも優れた水準ではないかと思う。

荷室は奥行きもあり、広々としている
荷室は奥行きもあり、広々としている
荷室床下には、小物入れもある
荷室床下には、小物入れもある

 一方、ハンドル操作などの面でやや気掛かりなことがあった。「ステルヴィオ」に限らず、アルファロメオの4ドアセダン「ジュリア」にも同じような傾向があるのだが、ハンドルの操作に対してクルマの動きが敏感なのだ。たとえば直進している時に、ルームミラーでの後方確認やスイッチ操作で視線をずらすと、わずかだが手も動くことがある。このわずかな手の動きに反応して直進が乱れて左右に揺れてしまう。車線をはみ出すほどではないが、同乗者の体を揺らすことにもなり、快適さを損なう。

俊敏というより、やや敏感すぎる運転感覚だった
俊敏というより、やや敏感すぎる運転感覚だった

 それを敏捷(びんしょう)さとして評価する声もあるようだが、運転に緊張を強いられるし、同乗者にとっては不意に体がゆすられて車酔いしかねない。運転の爽快さを味わわせたいとの狙いは理解できるが、敏感すぎることと応答が的確であることは異なる。

 まず真っすぐ安定して走れることがクルマの基本であり、その先に、俊敏さやゆったりとした乗り味など、それぞれの持ち味が付け加えられるべきだ。

前席の下へ爪先を差し入れることができ、後席はゆったり落ち着ける
前席の下へ爪先を差し入れることができ、後席はゆったり落ち着ける

 乗り心地においても、パンクして空気が抜けてもしばらく走行し続けられるランフラットタイヤを装着している影響もあるのだろうが、細かい上下の振動が続いて快適とはいえない。ランフラットタイヤで乗り心地を満たす難しさはあるが、商品性としての成熟が待たれる。

 後席にきちんと座ることのできる室内のつくりや容量の大きい荷室など、SUVとしての実用性が高く、外観の独創的な造形など魅力あふれる面は多い。さらなる熟成が求められるところだ。

御堀 直嗣
プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。

無断転載禁止
486354 0 インプレッション 2019/03/19 05:20:00 2019/03/19 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190312-OYT8I50057-T.jpg?type=thumbnail

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