ユニークな外観、印象に残るEV 英ジャガー「I‐PACE」(Vol.567)

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SUV「I‐PACE」は、英国ジャガー初のEVだ
SUV「I‐PACE」は、英国ジャガー初のEVだ

 英国ジャガーのスポーツ用多目的車(SUV)「I‐PACE(アイ・ペイス)」は、同社初の電気自動車(EV)で、ユニークな外観をしている。前後のタイヤの車軸上に、それぞれモーターを配置しているため、従来エンジンが搭載されていたエンジンルームには何もない。したがって、ボンネットを開けると、そこには小物入れがあるだけだ。客室も前方寄りで、見慣れたクルマの形ではない。真横から見ると、エンジン車のSUVと大きく異なっていることが良くわかる。

客室部分が前方へ寄った独特な外観をしている
客室部分が前方へ寄った独特な外観をしている
後席はゆったりとした広さがあり、高級車のようだ
後席はゆったりとした広さがあり、高級車のようだ

運転席からの見通しは良く、また車幅感覚がつかみやすいため、運転しやすい
運転席からの見通しは良く、また車幅感覚がつかみやすいため、運転しやすい

 この形状が客室の広さにつながっている。ジャガーのエンジン車のSUV「F‐PACE」と車体の寸法は近いのだが、「I‐PACE)」の後席の方が広々としている。座ると、前席との間に大きなゆとりがあり、高級セダンの後席に座っているかのようだ。

 運転席に座っても、独特な雰囲気がある。目線が、いわゆるSUVのように高くなく、一方、セダンのように低いわけでもない。それらの中間的な高さにあることに気づかされる。この高さが遠くを見通しやすくし、かつクルマの安定した走りを予感させるのである。

前進、後退の切り替えは、シフトレバーではなく、センターコンソール右手のボタン操作で行う
前進、後退の切り替えは、シフトレバーではなく、センターコンソール右手のボタン操作で行う

 実際に「I‐PACE」は、リチウムイオンバッテリーを床下に敷き詰めた構造で、重心は低く、走行感覚が実に安定している。そうしたことを走り出す前に目線の位置から感じさせるところがあった。

 EVの常で発進は力強く、それでいて加速は滑らかで、運転も快適だ。たとえば、都市高速の短い加速車線でアクセルペダルを少し踏み込むだけで本線のクルマの流れに追いつけるほどの加速力を持つ。短距離で流れに乗れる安心は、EVならではといえるだろう。

 当然ながら都市部での発進・停止も楽だ。設定変更が可能な回生ブレーキの強さを高い方にしておくと、アクセルペダルだけで発進から加速、減速、停止までできるワンペダル操作が可能になる。ペダル踏み替えへの懸念や疲れが少なくなり、室内の静粛性と合わせて、クルマで出掛けるのを楽な気分にさせてくれるだろう。

ボンネットを開けると、小物入れがある
ボンネットを開けると、小物入れがある
荷室は、SUVとして十分な広さがある
荷室は、SUVとして十分な広さがある

荷室の床下に、200Vの普通充電用ケーブルが収納されている
荷室の床下に、200Vの普通充電用ケーブルが収納されている

 車体は、全長こそ5ナンバー枠に入る4.7メートル以下だが、車幅は1.9メートル近くある。大柄に見えるクルマだが、いざ運転してみると、車線内を走行するうえではいかにも大きいといった気遣いはなかった。それというのも、前へ張り出すフロントウィンドーの支柱が視線の左端で常にとらえられるので、左の路肩との距離感をつかみやすいからである。目線を大きく動かさなくても、車線の左端をはみ出していないと確信できるので、ガードレールを(こす)る心配がなく、怖くないのだ。

 ジャガーらしい美しさを保ちながら、EVの潜在的な性能までも引き出す動力性能の高さを持つ。それが運転のしやすさにつながっていることを実感できた。早くも年内販売の予定台数を売り切っているほどの人気だそうだ。

 本格的なEV時代が近づきつつあることを実感させる、印象に残るEVであった。

プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。

無断転載禁止
538202 0 インプレッション 2019/04/30 05:20:00 2019/09/11 15:40:49 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190411-OYT8I50037-T.jpg?type=thumbnail

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