3年ぶりに国内復帰、進化したSUV トヨタ「RAV4」(Vol.568)

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ガソリンエンジン車のみに設定された「アドベンチャー」。悪路走破性を見た目にも強調している
ガソリンエンジン車のみに設定された「アドベンチャー」。悪路走破性を見た目にも強調している

 トヨタ自動車のSUV(スポーツ用多目的車)「RAV4」が、フルモデルチェンジをして5代目となった。初代は1994年に誕生し、今日のSUVの先駆的存在だったが、実は2016年に国内販売を中止していた。一方、米国市場での人気は依然高く、17年には乗用車部門で同社の「カムリ」を抜いて販売台数1位になるほどであった。しかし、国内では車体がやや大きすぎ、販売台数の低迷により販売中止に至った。近年は、国内でも輸入車など含め大柄なSUVが売れ行きを伸ばしているため、「RAV4」も再登場となったのである。

 ガソリンエンジン車とハイブリッド車(HV)があり、試乗をしたのは、ガソリンエンジン車に設定された「アドベンチャー」、HVの最上位車種「G」である。

日常的な発進・停止の際に、やや力不足を感じさせた排気量2000ccのガソリンエンジン
日常的な発進・停止の際に、やや力不足を感じさせた排気量2000ccのガソリンエンジン
「アドベンチャー」の室内は、色合いが豊かで明るい雰囲気だ
「アドベンチャー」の室内は、色合いが豊かで明るい雰囲気だ

車体後部のカメラで後方の様子を見せるデジタルインナーミラーが試乗車には注文装備で装着されていた(「G“Zパッケージ”」には標準装備)
車体後部のカメラで後方の様子を見せるデジタルインナーミラーが試乗車には注文装備で装着されていた(「G“Zパッケージ”」には標準装備)

 排気量2000ccのガソリンエンジン車には、CVT(無段変速機)が組み合わされる。このCVTは、トヨタ車として初めて発進用のギアを備えており、停車状態からの動き出しでグッと手ごたえのある発進をした。ただ、そのあと時速30~40キロまで速度を上げていくときに、アクセルペダルをもうひとふみ深く踏み込みたくなる力不足を感じた。車両重量が1630キロ(アドベンチャー)という重めのクルマとはいえ、発進と停止を繰り返すことの多い日常ではよく使う速度域であり、今後の改善を期待したい。

 その点、HVは排気量2500ccのガソリンエンジンを基に、モーターで発進するため、実に滑らかに加速していく。また、モーターの補助があることによりエンジンを余計に回す必要がなく、室内の静粛性も高い。モーターやバッテリーも搭載するHVはガソリンエンジン車に比べ、車両重量が30キロ重くなる(今回の試乗車同士の比較)が、その重さがかえって走行感覚に重厚さをもたらしている。後席も快適で、HVは、あたかも上級セダンに乗っているかのように上質な乗り心地であった。

シフトレバーの右にあるのは、路面状況(マッド&サンド/ノーマル/ロック&ダート/スノー)に応じた四輪駆動制御タイプに切り替えるスイッチ
シフトレバーの右にあるのは、路面状況(マッド&サンド/ノーマル/ロック&ダート/スノー)に応じた四輪駆動制御タイプに切り替えるスイッチ
座席はゆったりとした大きさで、舗装路から悪路まで体をしっかり支えてくれた
座席はゆったりとした大きさで、舗装路から悪路まで体をしっかり支えてくれた

 新型「RAV4」には前輪駆動車もあるが、今回試乗したのはどちらも四輪駆動車であった。ガソリンエンジンの試乗車には、新開発された「ダイナミックトルクベクタリング」という機構があり、駆動力について、前輪と後輪への配分を行うとともに、後輪の左右への配分も行うことができるようになった。たとえば、カーブを曲がる際に、外側の後輪へ駆動力を増すことで、あたかもレールの上を走るかのようにスムーズに旋回する。運転中いかにも効果を発揮しているといった印象はないが、ハンドルを切り込んだ通りに、滑らかにクルマが曲がっていくので、運転に安心感が加わる。

ドアは、車体端のサイドシルと呼ばれる部分を外から覆うように閉じられ、悪路走破後に降りる際、足の裾を泥で汚す心配を減らす
ドアは、車体端のサイドシルと呼ばれる部分を外から覆うように閉じられ、悪路走破後に降りる際、足の裾を泥で汚す心配を減らす
荷室は出っ張りが少なく、たくさんの荷物を載せて遠出ができそうだ
荷室は出っ張りが少なく、たくさんの荷物を載せて遠出ができそうだ

 今回は、事前に雪道での試乗も体験した。滑りやすい道路環境でもクルマが的確にカーブを曲がる感覚があった。

 HVの四輪駆動は、2001年の「エスティマ」からトヨタが採用する「E‐Four」と呼ばれるタイプで、後輪をモーターのみで駆動する方式だ。今回、その後輪モーターの性能を高めたとのことで、運転中はあたかも後輪駆動のクルマを走らせているような感覚があった。加速の際には、そのモーターが後押しするように力強く速度を上げていく。

 新型「RAV4」は、トヨタの新たな設計・生産手法「TNGA」を設計段階から導入している。TNGAの本格的な採用は、「カムリ」に続いて、このクルマが第2弾になる。HV「プリウス」からSUV「C‐HR」が誕生し、大きな進化を見せつけて人気車になったように、その高性能さは期待できる。「いいSUVに乗った」、そのような後味を残す一台である。

プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。

無断転載禁止
571713 0 インプレッション 2019/05/14 05:20:00 2019/12/10 10:09:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190418-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

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