上級車種にふさわしい快適性 アウディ「A6」(Vol.571)

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今回試乗したのは、アウディ「A6アバント55TFSIクワトロ Sライン」
今回試乗したのは、アウディ「A6アバント55TFSIクワトロ Sライン」

 ドイツのアウディ「A6」が、フルモデルチェンジをした。起源をたどると、アウディ「100」にさかのぼり、かつては同社の最上級車種だったが、現在は、この上に「A8」が登場している。タイプとしては4ドアセダンとステーションワゴンがあり、今回試乗したのはステーションワゴンの「A6アバント」だ。

 エンジンは、排気量3000ccのV型6気筒ガソリン直噴ターボで、これに48V電源のマイルドハイブリッド(MHEV)ドライブシステムが加えられている。交流発電機にモーター機能を追加したことにより、アイドリングストップからのエンジン再始動や、強い加速をするときにエンジンの力を補助する役目を担う。

 このMHEVシステムがついたエンジンは、発進のとき少し力不足のような気もしたが、クルマが動き出してしまえば滑らかな回転とともに力をみなぎらせ、素早く速度にのせていった。その加速感は、かなり快い。ステーションワゴンなので、荷物を積んでの移動が多くなるだろうが、そうした場合にも快適に走れるのではないだろうか。

ステーションワゴンだが、伸びやかで美しい後ろ姿が印象的
ステーションワゴンだが、伸びやかで美しい後ろ姿が印象的
すべての回転域で滑らかに回り、快い加速をもたらすMHEVドライブシステムのエンジン
すべての回転域で滑らかに回り、快い加速をもたらすMHEVドライブシステムのエンジン

 また、車体寸法の拡大はわずかなのだが、外観の造形によって大柄に見え、風格がある。低速度の時にハンドルを切るとわずかな回転でも前輪がより多く操舵(そうだ)されるプログレッシブステアリングと、後輪も操舵するダイナミックオールステアリングホイール(こちらはオプション装備)という機能が搭載されていた。これにより、想像以上に小回りが利く。ただ、車体寸法が小さくなったわけではないので、曲がる際には車幅に気をつける必要がある。また、この先進技術は、ゆっくり後退する際にも機能するので、後ろを見ながら操作する際も一般のハンドル操作に比べて想定以上の切れ込み方をするので、周囲の障害物に十分注意する必要がある。

たっぷりとした寸法で体を支える前席
たっぷりとした寸法で体を支える前席
運転者のことを配慮し、各種の操作がしやすいようにつくられた運転席
運転者のことを配慮し、各種の操作がしやすいようにつくられた運転席

 今回の試乗でもっとも印象的だったのは、昨年、上級車種の「A8」に試乗した際、どこか仕上がりの粗い印象があり、高級さを実感しにくかったのだが、今回の「A6」は、その「A8」よりも上質な乗り味であったことだ。アウディジャパン広報の見解としては、今年(2019年型)の新車はいずれも品質が高く、成熟の度合いが見違えるようだとのことだった。外国車の場合、毎年、細かな調整が行われ、発売から年を経るごとに改善されていくことが多い。昨年の「A8」は、まだ発売当初の立ち上がり段階での粗さが出たのかもしれない。

座席のつくりや空間のゆとりなど、後席の快適性は素晴らしかった
座席のつくりや空間のゆとりなど、後席の快適性は素晴らしかった
後席の背もたれを前へ倒せば、大容量の荷物も入れられる
後席の背もたれを前へ倒せば、大容量の荷物も入れられる

後席の空調は、左右別々に調整することができる(オプション装備)
後席の空調は、左右別々に調整することができる(オプション装備)

 いずれにしても、「A6」の快適さは格別だった。後席の乗り心地も大変よく、ずっと後席に座ったままで移動したいと思わせるほどである。座席は、(もも)の下が座面にきちんと支えられる形状であり、前席下へ爪先を入れる余裕もあり、空間的な広さも加わってゆったりくつろいで座れる。そのうえで、クルマの動きに対し体を十分支えることができた。室内の静粛性も優れる。

 このところの、メルセデス・ベンツやBMWの仕上がりのよさが目についたが、アウディも決して負けていないことを新型「A6」で実感した。

プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。
無断転載禁止
644510 0 インプレッション 2019/06/25 05:20:00 2019/12/10 10:09:23 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190617-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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