17年ぶりの復活、開発者の思いが伝わるクルマ トヨタ「スープラ」(Vol.572)

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5代目のスープラは、初めて2人乗りスポーツカーとして開発された
5代目のスープラは、初めて2人乗りスポーツカーとして開発された

 トヨタ自動車の「スープラ」が、17年ぶりに2人乗りスポーツカーとして戻ってきた。ドイツBMWとの共同開発車で、主要な部品を共通化しながらも、クルマのタイプは両社で異なる。トヨタは「スープラ」を独自開発のクーペに、BMWはオープンカー「Z4」として世に出した。

 「スープラ」というクルマは、1978年に「セリカXX(ダブルエックス)」(北米では初代から「スープラ」の車名)として登場し、このクルマで5代目となる。

 搭載されるエンジンは、直列6気筒と同4気筒、ともにガソリンターボエンジンになる。4気筒搭載車には二つのグレードがあり、このうち廉価車種であるSZが印象深い乗り味だった。運転操作の通りに素直に走り、スポーツカーとしてしっかり作り込まれたことが伝わってくる。直列4気筒エンジンは、回転の全領域でよく動き、爽快な運転気分を味わわせてくれた。マツダ「ロードスター」のようなライトウェートスポーツカー(小型のスポーツカー)とは別の乗り味ではあるが、それに近い爽快さがあった。BMWとの共同開発の反映で、車両の前後重量配分比がきわめて50:50に近い作りであるところもそうした乗り味をもたらすのだろう。

車両重量配分比が前後ほぼ50対50となるよう設計されている
車両重量配分比が前後ほぼ50対50となるよう設計されている
荷室は小ぶりだが、ある程度の荷物は積める
荷室は小ぶりだが、ある程度の荷物は積める

 同じ直列4気筒エンジン搭載車でも、上級車種のSZ‐Rになるとアダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム(AVS)と呼ばれる制御機能が加わる。そのためか運転感覚に変化が表れた。ハンドル操作に対し、クルマの前輪がより内側へ切れ込むような動きになる。また、乗り心地が非常に硬くなり、車体が跳ねそうになるほどだ。スポーツモードを備えるが、ノーマルのままでも乗っているのが(つら)くなるほど振動がきつい。今後のさらなる調整が望まれる。

体を包み込むように設計された運転席
体を包み込むように設計された運転席

 当初「セリカXX」として誕生したのは、従来の「セリカ」が直列4気筒エンジン搭載だったのに対し、直列6気筒エンジンを搭載した上級車種として位置付けられたことによる。したがって、「スープラ」といえば、直列6気筒エンジンが主力といえるだろう。そのエンジンを搭載したRZは、SZ‐Rと同じAVSを採用するが、乗り心地は落ち着きが出ていた。ハンドルを切った際のクルマの動きも穏やかになっている。エンジンが直列6気筒となったことで、前後重量配分で前輪側がやや重くなり、このことが違いにつながったのではないか。一方、路面にうねりがあるような場面では、車体が安定していないような感覚があった。RZはより扁平(へんぺい)なタイヤ寸法となり、グリップが上がったことで、車体剛性にやや不足が生じたようだ。

メーターは、エンジン回転計が中央に設置されている
メーターは、エンジン回転計が中央に設置されている
高速走行に備えた高性能ブレーキが装備されている。ただ、ペダルを踏み込む際、減速の始まりがやや遅れるようだった
高速走行に備えた高性能ブレーキが装備されている。ただ、ペダルを踏み込む際、減速の始まりがやや遅れるようだった

直列6気筒のガソリンターボエンジンは、低回転から高回転までよどみなく力を発揮した
直列6気筒のガソリンターボエンジンは、低回転から高回転までよどみなく力を発揮した

 エンジンは、低い回転数から高回転までよどみなく力を出し、滑らかな回転が特徴の6気筒らしく上質な加速感覚である。それに対し、4気筒は俊敏に回転数が上下するなどエンジン特性にも違いが表れていた。

 実際の運転では、4気筒のSZとSZ‐R、6気筒のRZ、同じスープラでも違った味わいがあり、好みはわかれるところだろう。とはいえ、トヨタがこだわった2人乗りスポーツカーは、開発者たちの思いが伝わるクルマでもあった。

プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。
無断転載禁止
673943 0 インプレッション 2019/07/09 05:20:00 2019/09/11 15:36:55 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190703-OYT8I50048-T.jpg?type=thumbnail

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