乗り心地の良さ、快適な走行性能…充実のコンパクトSUV 「DS3クロスバック」(Vol.576)

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最上級車種「グラン・シック」での試乗であった。快く運転できる注目のコンパクトSUVと感じた
最上級車種「グラン・シック」での試乗であった。快く運転できる注目のコンパクトSUVと感じた

 「DS3クロスバック」は、フランスのPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)のブランドのひとつ「DSオートモビル」から登場したコンパクトSUV(スポーツ用多目的車)だ。車幅が1.8メートル近くあるので3ナンバー車になるが、全長は4.1メートルほどで、国内で人気のコンパクトSUVであるトヨタ自動車「C‐HR」やホンダ「ヴェゼル」より短い。

 このクルマは、昨年試乗した上級SUV「DS7クロスバック」と共通性を持つ。外観はもちろんだが、室内もダイヤモンドをイメージしたデザインが施されている。ダッシュボード中央のエアコンディショナーなどのスイッチもダイヤのカットをイメージした菱形の枠組みの中に設定されている。ただ、装飾的には良いかもしれないが、操作時にタッチすればいいのか、押すべきなのか、そのあたりは初めての人にはわかりづらい。その下にある始動スイッチも、最初は場所がわからず、あちこち探してしまった。オーナーとなれば、扱ううちに慣れることではあるのだが…。

ダイヤモンドをイメージさせる菱形の造形が、ダッシュボードだけでなく座席の模様などにも採用された独特の室内
ダイヤモンドをイメージさせる菱形の造形が、ダッシュボードだけでなく座席の模様などにも採用された独特の室内
荷室は広くはないが、日常的な用途には十分な容量がある
荷室は広くはないが、日常的な用途には十分な容量がある

 運転して気付かされたのは、快活に走るコンパクトSUVであることだ。しかも、乗り心地もよく、室内の静粛性にも優れる。

 試乗への出発前に、広報フタッフから「かなりまともに仕上げられたクルマです」との言葉に送り出されたが、まさにその通りで、あらゆる機能が的確に働き、調和がとれ、快く運転できるクルマであることを実感した。

直列3気筒のガソリンターボエンジンは十分な出力と滑らかな回転で、走りを楽しむことができた
直列3気筒のガソリンターボエンジンは十分な出力と滑らかな回転で、走りを楽しむことができた

 搭載されるガソリンエンジンは、排気量が1.2リッターの直列3気筒で、ターボチャージャーを使って過給する。3気筒のため軽自動車で体感するような特有の振動や騒音を感じるのではないかと想像していたが、乗車中に意識させられることはほとんどなかった。上り坂で加速するなど、エンジンに負担がより掛かる場面では振動を意識させられることはあったが、それ以外は、市街地から高速道路までエンジンは滑らかに回った。

 馬力も十分で、たとえば高速道路で速度を保ちながら走っている際、エコモードを選んでいても追い越しで力不足を覚えることはなかった。そして、スポーツモードへ切り替えると、より高いエンジン回転で走行するよう制御されるので、俊敏な走りも楽しめた。

 いずれの走行条件でも過不足なく、それでいてモードを切り替えれば走り方を一変させ、楽しませてくれる仕上がりは、クルマとして熟成された点を実感させた。

 運転支援機能で特徴的なのは、車線維持の仕方だ。一般的には車線の中央を走らせるように制御されるため、工事現場や大型車の横をすり抜けたりする際も、車線中央をあくまで維持しようとする。そのため、運転席からの車幅感覚では接近し過ぎでないかと不安になることがある。一方、このクルマの場合は、運転者がハンドル操作をして走っていた道路上の位置を維持するように調整されるため、運転者が不安を感じない車線のやや右や左寄りを維持して走らせることができるのである。運転支援機能を使うときに心理的負担の少ない制御といえるだろう。

運転席のクッションは柔らかく、座り心地はよい。しかし、運転時の最適な姿勢位置を見つけるのに時間がかかった
運転席のクッションは柔らかく、座り心地はよい。しかし、運転時の最適な姿勢位置を見つけるのに時間がかかった
後席はきちんと座ることができ、足元も十分ゆとりがあって、室内の静粛性と併せて快適だった
後席はきちんと座ることができ、足元も十分ゆとりがあって、室内の静粛性と併せて快適だった

パワーウィンドーのスイッチなどにも独特のデザインが施されている
パワーウィンドーのスイッチなどにも独特のデザインが施されている

 ただ、残念なことに、ハンドルの左下のレバーによる運転支援機能の操作はわかりにくく、誤操作もしやすいのではなかろうか。多くのクルマで採用しているハンドルのスポーク部に操作スイッチを移設してほしいと思う。

 試乗したクルマは、3つあるグレードのうち、もっとも高価な最上級車種で、400万円を超す価格になる。「グラン・シック」と名付けられた最上級車種ゆえかもしれないが、運転を飽きさせず、なおかつ後席の快適性も満たした、充実のコンパクトSUVだと感じた。

御堀 直嗣
プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。

無断転載禁止
768903 0 インプレッション 2019/09/03 05:20:00 2019/12/10 10:09:20 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190827-OYT8I50063-T.jpg?type=thumbnail

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