運転支援技術が進化、近未来のクルマを予感 日産「スカイライン」(Vol.577)

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「プロパイロット2.0」を標準装備したHV「GT Type SP」に試乗した
「プロパイロット2.0」を標準装備したHV「GT Type SP」に試乗した

 日産自動車の高級セダン「スカイライン」がマイナーチェンジをした。中でも、ハイブリッド車(HV)には、最新の運転支援技術「プロパイロット2.0」が標準装備された。これは、高速道路の走行時に、カーナビゲーションに目的地を設定すると、同一車線内ではハンドルから手を離したままで走行させることのできる機能である。もちろん、ハンドルから手を離さなければいけないわけではなく、手放し運転も可能なほどクルマが車線内を維持しながら走行できる技術水準になったということだ。

 日産は、2016年のミニバン「セレナ」から、「プロパイロット」と名付けられた運転支援技術を搭載してきた。同技術は、SUV(スポーツ用多目的車)「エクストレイル」、電気自動車(EV)「リーフ」へと順次展開を広げてきた。

日産が後輪駆動車(FR)用に開発した1モーター2クラッチ式のハイブリッドシステムを搭載する
日産が後輪駆動車(FR)用に開発した1モーター2クラッチ式のハイブリッドシステムを搭載する
後席背もたれを前方へ倒すことはできないが、セダンとして十分な荷室容量がある
後席背もたれを前方へ倒すことはできないが、セダンとして十分な荷室容量がある

 「プロパイロット2.0」も、従来の「プロパイロット」と同様、あくまで運転の責任の所在はドライバーにあるレベル2で、運転支援技術に位置付けられている。だが、進行方向や車両周辺の状況を認識するカメラやレーダーなどの機器が進化し、加えて、高精度な3D(3次元)地図データを活用することで、より精度が高く、安全性の高い技術水準に達した。

 使ってみると、スイッチ操作はこれまでの「プロパイロット」と同じで、簡単でわかりやすい。まず、ハンドル右側のスポークに設置されたプロパイロットボタンと呼ばれる青いスイッチを押して起動させる。次にキャンセルと書かれたスイッチを押し下げ、「プロパイロット2.0」の機能を作動させる。メーターパネルやヘッドアップディスプレーの表示が青色になると、手放し運転が可能になる。

運転者を中心にデザインされ、クルマを操る喜びを感じる室内空間
運転者を中心にデザインされ、クルマを操る喜びを感じる室内空間
ハンドル右側のスポークにある青色のスイッチを入れると起動し、その左横の細長いキャンセルスイッチを下へ押し下げると「プロパイロット2.0」が作動する
ハンドル右側のスポークにある青色のスイッチを入れると起動し、その左横の細長いキャンセルスイッチを下へ押し下げると「プロパイロット2.0」が作動する

ハンドルから手を離して走行することに躊躇(ちゅうちょ)はなかった。「プロパイロット2.0」は、安定し、安心できる走行を続けた
ハンドルから手を離して走行することに躊躇(ちゅうちょ)はなかった。「プロパイロット2.0」は、安定し、安心できる走行を続けた

 ハンドルから手を離す際、もっと不安が募るかと思った。ところが、クルマの走行状態が大変安定しているので、戸惑いはなく、安心して手を離すことができた。そこまで安心感をもたらしたのは、高精度な3D地図データを用いることで、カメラやセンサーの認識範囲を超え、かなり先まで道路の情報がわかるためだ。この地図データは、センチ単位の座標となっているため、単に道路をなぞるだけでなく、道路の中の走行車線までも認識することができる。

 カーブなど速度を落とす必要がある箇所も、地図データにより曲がりの角度などが事前にわかるため、自動的に減速し、車線をはみ出さないように走行する。速度調節が的確にできるのは、モーター走行機能を備えたHVであるからだ。電気モーターは、ガソリンエンジンなどに比べ、100倍ほども反応が早く、細かい出力制御をすることができる。したがって、同じスカイラインでもガソリンエンジン車には「プロパイロット2.0」は搭載されていない。

カメラやレーダー機能もより進化を遂げ、クルマに突起物等はない。これに、3D高精度地図データが加わり、「プロパイロット2.0」に進化した
カメラやレーダー機能もより進化を遂げ、クルマに突起物等はない。これに、3D高精度地図データが加わり、「プロパイロット2.0」に進化した

 「プロパイロット2.0」を作動させて乗っていると、自動運転がもう実現したかのように思えてくる。それほど完成度の高さを実感した。ただし、「プロパイロット2.0」はレベル2に位置付けられる運転支援機能で、一定の条件下で運転者の代わりにシステムが運転を担うレベル3の自動運転レベルではない。このため、運転者がちゃんと前を見ているかどうかを確認するモニター装置がダッシュボードの上に設置され、よそ見をしたり、居眠りをしたりすると警告が鳴り、メーター上に警告表示が出る。それでも応答がない場合にはクルマが減速を始め、最終的には緊急停止をして、警察や救急へオペレーターが通報する安全機能を備えている。

 ハンドルから手を離し、ペダル操作もせずに延々と走行を続ける経験は、免許証を取得してからの運転歴で初めてである。近未来の新しいクルマを体験した気分だった。大変快適であり、未来のクルマも悪いものではないと、明るい気持ちにさせられた。

御堀 直嗣
プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。
無断転載禁止
792206 0 インプレッション 2019/09/17 05:20:00 2019/09/17 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190910-OYT8I50034-T.jpg?type=thumbnail

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