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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『老建築稼の歩んだ道』 松村正恒著作集

     「建築家」ではなく「建築稼」を自称し、「稼」を「ものを植えて育てるという意味。一種の職人です」と語っていた。愛媛県八幡浜市役所に勤め、木造モダニズム建築の秀作を設計した松村正恒(1913~93年)。代表作の日土ひづち小学校が2012年に国重文となり、作者への関心も高まる中、思想と人柄を伝える本が出た。

     東京で最新の建築を学んだが、戦時中は雪国の民家と暮らしをつぶさに調査。愛媛県に帰郷すると「質実な、深みと人間味のある、人に生きる喜びと勇気を与える」建築をめざした。奇をてらう建築家を風刺し、反骨と信念の人だった。

     日土小では春、夏、冬に見学会がある。川に面したテラス、緩やかな階段、明るい教室。児童への愛情がにじむ校舎が松村の理想を伝える。花田佳明編。(鹿島出版会、4200円)(高)

    2018年05月30日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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