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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『東大寺のなりたち』 森本公誠著

     奈良・東大寺の別当を務め、現在は長老の著者は、イスラム史の研究者でもある。歴史家の目で東大寺の存在意義を問い続け、奈良時代の創建期を解き明かすことに答えを見出みいだした。

     本書では、「続日本紀」や「東大寺要録」など様々な史料はもちろん、正倉院に伝わる当時使われた品々や文書も手掛かりに、目の前に情景が浮かぶような記述で寺史を復元した。

     聖武天皇は、続く天変地異に「責めは予一人にあり」と心を痛め、仏教を政治の基本に据えた。752年に行われた盛大な大仏開眼会かいげんえを、次第に沿って再現した記述は本書の大きな読みどころになる。平安初期には地震で大仏の頭部が落ち、修理されると再び盛大な開眼会が行われた。災禍からの復興こそ、東大寺の歴史の根幹にあるという。(岩波新書、840円)(央)

    2018年08月01日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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