<速報> 山口で行方不明だった2歳男児、発見…意識あり
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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『オールドレンズの神のもとで』 堀江敏幸著

     ダイヤル式の黒電話と孫をめぐるやり取り。夕日と肖像画に関する出来事。短編18編を収めた作家の新刊は、何げない生活の情景を切り取ってゆく。だが、末尾に置かれた表題作に触れると印象が一変する。

     主人公の頭には、一族の遺伝のような1センチ四方の小さな正方形のあながある。一生に1度、激しく頭が痛み出したときには、荒れ狂う記憶の粒を吸収するため、肌身離さず持っている細いカシの木の棒を孔に差し込む必要があるという――。

     その瞬間、世界に光や色が散乱し、様々な人間の記憶があふれ出す。原子力発電所事故のイメージと重なり合い、あの惨劇が生んだもの、奪ったものが、本作の前に読んだ短編と重なり合って乱反射を始める。震災文学のある一極が、ここに深く刻まれている。(文芸春秋、1650円)(待)

    2018年08月08日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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