文字サイズ
    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『何ものにも縛られないための政治学』 栗原康著

     アナキズム研究者が繰り出す最新刊。型破りだがひきつけられる、不思議な魅力を放つ書籍だ。

     国家や憲法、議会選挙に所有権。当たり前と思っているものを「そんなのはいらない」と宣言する。権力は結局、人間を束縛するではないか。革命時に支配権力がない状態でも、人々はきちんと生きているではないか。一見すると青臭いだけの主張を、グルーブ感あふれる文体で、とりつかれたようにたたみかける。

     著者は、革命では新たな支配が生まれるだけだと喝破し、「戦闘的退却主義」を唱える。権力と正面衝突するのではなく、非対称なたたかい方をしたり、トンズラしたりする。「支配や権力にとらわれない生き方をしよう」との呼びかけには、多くの人を立ち止まらせる力を感じる。(KADOKAWA、1800円)(佑)

    2018年09月12日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク