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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『白いジオラマ』 堂場瞬一著

     警察小説やスポーツもので人気の著者によるバディ小説は、2人の「元」が活躍する。1人は元刑事で、防犯アドバイザーの麻生。相棒は、その孫で元引きこもりの将。『共鳴』(中公文庫)に続いて、2人を主人公にすえた長編だ。

     麻生は昔の肩書や人脈を生かし、行方不明となった高齢者や、女子中学生の家出といったご近所のトラブルに首を突っ込んでいく。見えてくるのは、独居老人やネグレクトなど、現代の家族が抱える課題だ。熱血漢の麻生と、現代っ子である将の視点を対比し、問題が立体的に浮かび上がる。

     将と麻生は、ともに家族関係で苦しんだ過去を持つ。それが調査の熱量や、調べる相手への優しさにもつながる。派手な事件は起こらないが、家族のあり方を考えさせられる。(中央公論新社、1500円)(律)

    2018年11月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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