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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『廃道を歩く』 石井あつこ著

     「廃線」歩きはかなり市民権を得てきたが、「廃道」となると、まだまだ未開のジャンルである。著者自身もお勧めはしていない。なにせ、道でなくなった所を行くわけだから、いろんな意味で登山道より危険だ。そこを彼女は突き進む。

     朽ちたものに美を感じる人は世に少なからずいる。著者もその一人だが、その光景だけでは満足せず、廃道を自分で見つけ、徹底的にその来歴を調べる。冒険をいとわぬ勇気にも脱帽だが、本書の真骨頂はその点にある。だからこそ、単なるのぞき趣味に終わらず、その道を通った時代の暮らしや人々の思いが、鮮明に浮かび上がってくる。

     大垂水峠の旧道(神奈川県)など全国12か所の廃道ルポを収録。新旧の地形図と足を使った「道路考古学」の誕生を告げる書である。(洋泉社、1500円)(片)

    2018年11月28日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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