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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『中年フリーター』 小林美希著

     人手不足や賃金上昇が報じられている昨今、忘れ去られている人々がいる。現在35歳から54歳の非正規労働者「中年フリーター」だ。

     バイトを三つかけもちして休みゼロの43歳男性、手取り17万円で地方医療を支える臨時公務員の37歳男性など、ルポは悲惨な実態を描いている。そもそもは就職氷河期に新卒採用が極端にしぼられたことが原因なのに、政治も社会も「自己責任」とばかりに放置してきたため、彼らの状況は変わらないまま、年だけが重ねられていくのだ。

     いずれ、大きなしっぺ返しがあるはずだ。著者が強調するように、「誰かを切り捨てた経済は弱い」のだから。他方、本書後半部の、良質な雇用を実践する企業のルポは救いになる。こうした企業が主流になれば、事態も変わるように思う。(NHK出版新書、780円)(佑)

    2018年12月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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