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    本屋の「今」描いたマンガ人気

     現役の書店員が、書店の舞台裏や客とのやりとりを描く“実録書店員マンガ”が人気を集めている。3月末に発売され、2か月で5万部のヒットとなった『ガイコツ書店員 本田さん』(本田作、KADOKAWA)を中心に、その魅力を探った。

    書店員の共感 カギに

     同作が描くのは、ガイコツの姿をした店員「本田」が、コミック売り場で奮闘する日々。大きな事件が起きるわけではないが、年々増加する外国人客の強烈な「マンガ愛」や、出版社の営業担当者との「仁義なき交渉合戦」などがコミカルに描かれ、読者は作品を楽しみながら、本屋の「今」に触れることができる。20代の女性である作者の本田さんが、実際にコミック売り場で働いているからこそ描き得た作品なのだろう。

     「初めは同僚の話にしようと思っていたけれど、次第にお客さんの面白さを描いた方がいいと思うようになった」と本田さん。作中には、実に個性的な客が次々と登場し、多種多様なマンガを買い求めていく。ただ、「人の趣味嗜好しこうを笑う話にはしない。失礼にならないように気をつけている」とも言い、「本田」が片言の英語を駆使し、ボーイズラブ(BL)好きの外国人女性たち“ヤオイガールズ”を接客する様子などには、何ともいえぬおかしみと同時に、彼らをそっと受け入れる温かみもある。

     主人公の「本田」をガイコツにしたのは、「ガイコツ自体は無表情なのに、状況によって表情豊かに見えるのにひかれたから」。同僚たちも鉄仮面やキツネのお面などかぶり物を装着しているが、それでもそれぞれの個性が際立ち、ネット書店ではない、人と人が向き合う書店のよさも浮かび上がる。「あるある」「私のことかと思った」などと書店員からの共感の声が多いのも特徴だという。

     “書店員マンガ”のヒット作は他に、「定番」と言うべき人気の久世番子『暴れん坊本屋さん』(新書館)が、シリーズ計50万部。ペットの猫が多数登場する書店員のブログを書籍化した、スズシロ『ほんとねこ』(学研プラス)が計2万部。

     『暴れん坊――』は、書店の裏側や書店員の本音をギャグ風に描くことで、読者を笑わせながら本の世界の面白さを伝え、やはり書店員からの人気が高いという。一方の『ほんとねこ』は、本と猫を愛する書店員の日常をゆるゆるとつづるコミックエッセーで、読む者の心をほっこりさせる。

     KADOKAWAの『ガイコツ――』の担当編集者は、「今は書店で、どうやって読者に作品を手に取ってもらえるかが勝負となる。『ガイコツ――』の場合、作品の質に加え、書店員さんが共感を持って『売りたい』と思ってくれたのがヒットにつながったのではないか」と分析している。

    マンガ家や編集者巡る作品も

     書店が舞台の作品以外にも、マンガの「裏側」を描く作品は人気が高い。『DEATH NOTE』で知られる大場つぐみ・小畑健コンビの『バクマン。』(集英社)は人気マンガ家を目指す少年たちと編集者との生々しいやり取りを描き、全20巻で計1500万部超。映画化もされた。

     マンガ雑誌の編集者が主人公の松田奈緒子『重版出来!』(小学館)は部数非公開だが、ドラマ化されるほどの人気で、現在TBS系で放送中。藤峰式『新刊、刷り上がりました!』(KADOKAWA)はマンガを刷る印刷所が舞台だ。(小間井藍子)

    2016年06月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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