『カラス先生のはじめてのいきもの観察』 松原始さん

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身近に生物感じる

松原始さん
松原始さん

 不思議な光景だった。撮影の際、お気に入りだという木製のカラスの人形を肩に乗せてもらった。指を添える何げないしぐさで、まるで生きているように見えてきたのだ。

 さすが、その生態を分かりやすく伝える『カラスの教科書』で知られる研究者だ。

 「でも、分からないことばかりです。今は枝の間など隠れた場所によく巣を作るハシブトガラスが、なぜ鉄塔のような広々とした場所に巣を作ることがあるのか考えています。カラスは空を飛ぶので、ドローンで空から巣を見れば何か分かるか……」

 その「カラス先生」の新刊は、生き物全般に対象を広げたエッセー風の一冊だ。子どもの頃、田んぼの近くの水たまりに、タイコウチやミズカマキリなど昆虫が多くいたこと。高校生のとき学校に迷い込んだコウモリをつかまえてかまれたのに、かわいい顔だなと思ったこと――。

 読みやすい文章で、生き物と身近に触れ合う暮らしはいいなと感じさせる。「子どもがやぶに突っ込んだり、身近に草むらで遊んだりする経験は減っています。昔はこんな環境があったなとか、自由に感じてもらえたら」と語る。

 1969年、奈良県生まれ。自然豊かな奈良公園の近くで育ち、動物が好きになった。京大進学後、生物学を学ぶため屋久島でサルを眺めていた時期もある。だが、「人間からは遠い生き物がいい」と、研究対象にカラスを選んだ。

 「普通の動物は、人間がいると逃げるし、物陰に隠れる。でも鳥は飛べるので、人前に堂々と出てくる。双眼鏡は必要でも、これほど観察できる面白い生き物はいません」

 取材はJR東京駅の近くにある建物で行った。帰り際に言った。「この近くにもシジュウカラが繁殖しています。都会に鳥がいないと思っているのは人間だけです」(太田出版、1500円)

 待田晋哉

33537 0 著者来店 2018/07/31 05:20:00 2018/07/31 05:20:00 2018/07/31 05:20:00 著者来店用・「はじめてのいきもの観察」作者の松原始さん(10日、東京都千代田区で)=高橋美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180723-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

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