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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・奈良岡聰智(政治史学者・京都大教授)

    『登録有形文化財』 佐滝剛弘著

     登録有形文化財は、国宝・重要文化財の「予備軍」と見なされがちだが、著者は必ずしもそうではないと説く。国が「指定」する重要文化財と異なり、所有者の申請に基づいて「登録」するボトムアップ型なのが重要だという。

     本書では、主な登録有形文化財(建造物)を写真入りで概観している。見櫓みやぐらなど生活に密着したもの、テレビ塔など個性的なものが多いのが興味深い。地域による違いが大きいのも特徴的で、都道府県別では兵庫と大阪の多さが際立っている。著者は、一九九六年に始まったこの制度は、各地域における文化財の保存・活用で成果を挙げており、欧米の文化先進国に遜色ないレベルに何とか達しつつあると評価している。

     近年、ユネスコの「世界遺産」への登録が過剰に重視されている。文化財の価値が世界的に認められるのは喜ばしいことであるが、それがナショナリズムの発露・競合の場になっているとすれば、果たして健全であろうか。登録有形文化財を通して、人びとが愛着を持つものを後世に伝えるという、本来の文化財愛好のあり方が見えてくる。

     勁草書房、2700円

    2017年12月18日 05時21分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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