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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・宮部みゆき(作家)

    『ポンコツ武将列伝』 長谷川ヨシテル著

     書名だけだと、戦国時代を上手に生き延びることができなかった敗軍の将列伝のように見えるが、さにあらず。著者がこよなく愛する連戦連敗の小田城城主「ポンコツ・オブ・ポンコツ」小田(おだ)氏治(うじはる)のような武将の方がむしろ少数派で、本書にはNHK大河ドラマで主役やカッコいい憎まれ役を張っている「ノット・ポンコツ」武将が大勢登場する。でも、カンペキな人間はいない。有名武将にも弱点や欠点はある。酒癖が悪かったり、戦嫌いで文化好きだったり、臆病だったり変人だったり。それぞれみんな「ア・リトル・ポンコツ」なのだ。

     著者はそもそも小田氏治のことを書きたくて、彼のゆかりの人びとについて調べてゆくうちに構想がふくらみ、「ポンコツ」というキーワードで武将伝をまとめることになったのだそうだ。人間くさいダメダメな部分を抱えつつも(どうにかこうにか)戦乱の世を渡っていった男たちへの愛にあふれるポップな文章で、戦国もの初心者の方にこそお勧めできる。巻末の「ポンコツ武将在世年表」も、種々のドラマや小説を楽しむとき便利に使えそうです。(柏書房、1400円)

    2018年02月26日 05時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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