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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・塚谷裕一(植物学者・東京大教授)

    『写真家だけが知っている 動物たちの物語』 ロザムンド・キッドマン・コックス著

    • 尻尾でブランコするマラバーラングール(トーマス・ビジャヤン撮影)
      尻尾でブランコするマラバーラングール(トーマス・ビジャヤン撮影)

     おそらく年長の兄弟だろう、二頭の長い尻尾をつかんでブランコをする小猿。ハキリアリの運搬によって、川のように林床を流れるピンク色の花びらの列。干上がりそうになっているオタマジャクシたちを救おうと、水路を掘り進みつつある父ウシガエル。

     「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の受賞作品を集めたものだけに、力作ぞろい。初めて見る情景も多く、見ていて楽しい。解説文も、写真の背景だけでなく彼ら動物たちの存在が脅かされている現状にも適宜触れており、バランスのとれたものとなっている。

     もちろん、自然愛好家なら既にどこかで見たことのある場面も若干ある。その意味では「写真家だけが知っている」というタイトルは言い過ぎかも知れないが、写真の完成度は、たしかに見たことのないレベルだ。それぞれ異なる写真家の作品からなっているため、個々人の作風の癖が気にならないのも良い。お勧めできるネイチャーフォト集だ。片山美佳子訳。(日経ナショナル ジオグラフィック社、2300円)

    2018年02月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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