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    読売新聞の読書委員らによる書評のコーナーです。
    評・戌井昭人(作家)

    『オッペケペー節と明治』 永嶺重敏著

     いつの時代も、どうにもならない世間や政治に不満をいだき、さまざまな表現方法で、物申す人たちがいる。歌もそのひとつだ。六〇年代のフォークはプロテストソングと呼ばれ、その後もロックやパンクなどが世間に対する不平や不満をうたってきた。黒人文化のヒップホップから発祥したラップミュージックもそのひとつで、彼らは言葉を武器にした。そして世界各国で共鳴、発展をし、現在の日本にも根付いている。

     だが、かつての日本にもラップのように、言葉を武器にした表現方法があった。それがオッペケペー節だ。はじまりは関西の落語界からで、川上音二郎がひろめた。

     川上音二郎は壮士と呼ばれ、世の中に不満をいだき、血気盛んに暴れまわっていた若者で、閉塞へいそくした世間に向かって「オッペケペー」とユーモアを交えながら唄い、人々に支持される。唄の力とユーモアで、何かを変えることができるのではないかと信じたくなる。その後、川上音二郎がつくった壮士劇は、新派となり、現代の日本演劇の礎を築く。明治の男の行動力に感服するばかりだ。

     文春新書 880円

    2018年03月05日 05時22分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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