『欲望の民主主義 分断を越える哲学』 丸山俊一+NHK「欲望の民主主義」制作班著

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 世界の民主主義が直面する難題を、どのように捉え、対峙たいじすればよいのか。本書は、この問いに挑んだ同名の番組に基づく、インタビュー集である。米仏独6人の識者による思考の軌跡を記録する。

 繰り返し語られるのは「言葉」の重要性だ。これは民主主義が、有権者による、為政者の検証を前提とするからだ。うその言葉があふれ、「おおかみ少年」の世界が訪れたとき、言葉によるコミュニケーションは無意味となる。言葉が途絶えた世界で暴力が台頭することは想像に難くない。

 口にする言葉と、実際の行為を区別するのも重要だ。例えばトランプ大統領は「アメリカ・ファースト」と言う。だが彼の行為を見ると、その「アメリカ」にイスラム系やラテン系のアメリカ人は含まれてはいない。これはアメリカの優先ではなく分断である。

 識者たちは、考察において、政治思想の古典を多く活用する。ホッブズやルソー、トクヴィルの著作などはその例だ。これにより現在の問題が、過去の問題と巧みにリンクして整理される。欲望をテーゼとする本書だが、思索という行為に希望の光を感じさせる。

 幻冬舎新書 800円

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14841 0 書評 2018/04/02 05:22:00 2018/04/02 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180330-OYT8I50011-1.jpg?type=thumbnail

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