評・服部文祥(登山家・作家) 

『登山者のための法律入門』 溝手康史著

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 山岳地帯に自ら赴き、自由意志で活動する登山に、本来社会システムの内側の約束である「法律」は必要ない。自然の中で自分で判断し、その結果がどうであれ自分で責任をとるのが登山であり、登山の「自由」はそこが核心部である。

 だが、山がレクリエーションの場や教育の場、ガイドが客を連れて行く商売の場になるにつれ、登山中の判断が他者に委ねられ、遭難事故が発生した場合、その責任を他者に負わせるようになった。

 そもそも山は自由に登っていいのか? 山でテントを張っていいのか? 登山中の事故で他人を訴えるとは?

 山登りにおける根本的な疑問から最近の訴訟問題まで、実際に起こった事故事例とその後の裁判、海外や他のスポーツとの比較などが紹介される。著者も自らが登山をおこなう弁護士であるため、自主自立という登山の根源的な魅力を理解した上で、登山者の感覚と世間一般の感覚の差を明確に意識して本書は書かれており、お互いの戸惑いがどこから生じ、なにが社会的な問題になっているのかがよく理解できる。

 山と渓谷社、900円

無断転載禁止
15395 0 書評 2018/04/09 05:20:00 2018/04/09 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180403-OYT8I50048-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ