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幕府草創期の内実に光
「日本史リブレット」シリーズは、政治や社会・生活等、歴史上のさまざまなテーマをとりあげて専門家が論じるもので、すでに100冊近くを世に送り出している。用語についての懇切な注や、古文書等の豊富な画像を収録して、コンパクトな体裁ながら、本格的な内容をわかりやすく伝えてくれる。関連シリーズ「日本史リブレット 人」は2009年に刊行開始、特に人物に焦点を定め、その事績や役割を語ることを通じて、歴史の実像を浮かび上がらせる。本書は、室町幕府を草創した足利尊氏・
日本史の中で著名な兄弟は多いが、尊氏と直義は互いを思いやる心の深さと、政権を運営する共同統治のスタイルとで際立っている。それだけに複雑な情勢の中で対立に追い込まれ、観応の
尊氏・直義の生涯は全国的な動乱とともにあり、彼らを取り上げる多くの書物でも、合戦の経緯や対立の構造が中心的な話題とされてきた。だが本書が注目するのは、動乱の
◇やんべ・こうき=1960年生まれ。東京大史料編纂所教授。専門は日本中世史で、室町時代研究で知られる。
山川出版社 800円