『避けられたかもしれない戦争』 ジャン=マリー・ゲーノ著

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『避けられたかもしれない戦争』(2日午後1時59分、本社で)=上甲鉄撮影
『避けられたかもしれない戦争』(2日午後1時59分、本社で)=上甲鉄撮影

軍事的介入の難しさ

 本書は、フランス人の著者が国連平和維持活動(PKO)担当事務次長として実務に携わった8年間の教訓をまとめたものである。彼は世代的に大戦争の経験がない。それゆえ、ネオコンのような民主化や人道目的での介入に、当初違和感はなかったと述懐する。だが、紛争介入の過程で、彼は理想と現実のギャップを思い知ることになる。2001年同時多発テロ以降の軍事介入は、新たな混乱を多数作り出したからだ。

 本書の特質は、各紛争事例を誠実に振り返り、教訓を導き出していること。重要なのは、介入の道義的評価は事後的に定まるとする主張だ。著者がこのように主張するのは、介入決定当初は明白だったはずの道義的根拠が、危機が広がるとあっけなく消失していく過程を目の当たりにしたからだ。例えば、アフガニスタン戦争。2001年に米国の攻撃が始まってすぐ、いかに多くの人々がすでに勝利を収めたと捉え、また正しい戦争であると認識したか。そのくせ、安定化の取り組みの必要と、その大変さをきちんと認識している人はごく少なかった。アフガニスタン戦争はいまや、失敗した、必要性さえ不明確な戦争だったと位置付けられつつある。

 介入の正しさは、「こうしたい」という正義感だけではなくて、介入によって成し遂げたこと、介入による被害などを総合的に判断して決められるべきだ。当たり前のようでいて、現代人が認識できていないこの問題を、本書は厳しく問う。また国際社会は打倒すべき不正が何であるかについては一致できるが、その地域をどうしていくべきかについては一致できないことが多く、そもそもあるべき秩序を戦略的に検討していない場合すらある。となれば、地域に秩序をもたらすための具体的な方法論にたどり着くわけがないだろう。

 本書は、戦争のみならず、平和を確立しようとする試みそのものに、不確実性が横たわっているさまを雄弁に物語る。庭田よう子訳。

 ◇Jean‐Marie Guéhenno=1949年フランス生まれ。外交官を経て国連平和維持活動担当事務次長を務める。

 東洋経済新報社 3400円

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16191 0 書評 2018/04/16 05:23:00 2018/04/16 05:23:00 『避けられたかもしれない戦争』(2日午後1時59分、本社で)=上甲鉄撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180409-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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