『ここは、おしまいの地』 こだま著

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 人の不幸を笑ってはいけないけれど、笑ってしまう場合がある。でも「ざまあみろ」という気持ちだったりさげすんで笑うわけではない。そのように笑える人間は本当に性格が悪いけれど、「この人、大丈夫なのか」といった気持ちで笑ってしまう場合がある。しかし当人が深刻だと笑えない。著者のこだまさんは深刻ぶらない。だが、あっけらかんとしているわけでもない、その微妙なところが彼女の随筆の魅力だ。

 前作では、旦那との上手うまくいかないアレやコレを書いて話題になったが、今回は親族や自分の病気、生まれ育った地を書いている。登場人物も、野犬に襲われた父や近所の子供に雷おばさんと呼ばれていた母など強烈で悲惨なエピソードもたくさん。それでも読者を笑わせてくれる。

 こだまさんは「欠けている」ものが自分の装備だと言うが、読んでいる我々も実は欠けている者ばかりで、それを誤魔化ごまかしながら生きている。こだまさんは、自分の「欠け」を書くことで救われているのかもしれないが、それを読んで笑わせてもらっている我々を救っているのも確かだ。

 太田出版 1200円

無断転載禁止
16042 0 書評 2018/04/16 05:21:00 2018/04/16 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180409-OYT8I50069-T.jpg?type=thumbnail

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