『路上のX』 桐野夏生著

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 両親の失踪、ネグレクト、継父による性的虐待、レイプ、望まない妊娠――境遇は違えど、十代にして頼る者も場所もなくなった真由、リオナ、ミト。三人の女子高生は、自分たちの力でこの世界を生き抜くために、汚しながらもその手を組むことを決める。

 かつて私が高校生だったころ、冒頭で述べたような不幸という不幸を並べた小説が流行した時代があったが、当時はそれを一種の娯楽として楽しめるほどその内容と自分との間に距離を感じられた。だが今作は、寄る辺ない若者の心の軌跡を容赦なくあぶり出す著者の筆力が、JKビジネスという言葉の裏にある大人の狡賢ずるがしこさや醜さ、その仕組みを成り立たせてしまっている社会の構造的、精神的欠陥を眼前に突き出してくれる。

 終盤、真由の両親の失踪理由が判明するが、結末に向けて抱いていた希望的観測とは程遠い真実に愕然がくぜんとさせられた。だが、少女以上に身勝手な大人の未成熟さは他人事でなく、読後、この小説は今このとき私たちの暮らす街に流れる時間であり、私たちを背景とした物語なのだということを思い知らされた。

 朝日新聞出版 1700円

無断転載禁止
22776 0 書評 2018/05/28 05:20:00 2018/05/28 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180521-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
お食事処ご利用2,000円以上で5%割引
NEW
参考画像
800円650円
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様にコーヒー1杯サービス
NEW
参考画像
2000円1800円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ