評・加藤 徹(中国文化学者・明治大教授)

『だけど だいじょうぶ』 農中茂徳著

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 「障害」児教育の現場と環境を、小説的な筆致で生き生きと語る。心にずしりと残る本。著者は「障害」と表記する。障害は本人より周りの人々の問題と考えるからだ。

 著者は長年、福岡県のろう学校や養護学校(2007年から名称を「特別支援学校」に統一)に勤務した。「障害」児はみな個性的で、家庭環境もばらばらだ。問題行動がたえぬ子、養護学校への「不本意入学」で怒る子、母親から育児放棄された子、落雷事故で「障害」者となり死を願う子、等々。子供たちは泣き顔ばかりでなく、とびきりの笑顔も見せる。著者は、ひとりひとりに寄り添い、ともに手探りで道を模索する。

 学童保育で「障害」児が健常児にまじり、野球をした。小2くらいの子がアイスバーを食べながら「あの人チテキショウガイなんやろう?」と著者にきいた。不意打ちだった。著者は考えた末、大胆な回答をする。答えは、本書を読んでのお楽しみである。

 著者は言う。「だけど、だいじょうぶ。人生は今だけじゃないから」。大人と子供が教わりあい育みあう。未来への希望はそこから生まれる。

 石風社、1800円

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35916 0 書評 2018/08/13 05:20:00 2018/08/13 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180806-OYT8I50051-T.jpg?type=thumbnail

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