『オランウータン』 久世濃子著

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 ヒトに最も近い一種として語られることが多いオランウータン(「森のヒト」)。

 だが意外にオランウータンの解説書は少ない。私も以前から、なぜオランウータンの個体間で顔が大きく異なるのか不思議だったが、それが雄の示す性的二型であることは、本書で初めて知った。雄は社会的に頂点に立つと、ホルモン作用で頬が大きく張り出すなどの二次性徴が発達し、フランジ雄という姿になるらしい。しかもその生理学的・社会学的解析は一九九〇年代後半から盛んになったもので、歴史も新しいようだ。

 本書は、この知られざるオランウータンの研究に学生時代に飛び込み、今日まで一貫して取り組んできた著者による解説書である。通読すれば、オランウータンのユニークな特性を知ることができ、また著者自身の成長も実感できる。研究資金についても節を屈せず、「保全・保護のためではなく」学術調査のために研究をするのだ、というところが頼もしい。イチジクについて誤解がある点、引用文献の表示など違和感を覚える点もあるが、図版の扱いはうまく、お薦めできる。

 東京大学出版会 3000円

無断転載禁止
42559 0 書評 2018/10/01 05:22:00 2018/10/01 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180928-OYT8I50001-T.jpg?type=thumbnail

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