『映画がつなぐ中国と日本』 劉文兵著

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 日中映画交流100年の歴史の大半は、苦渋の連続だった。本書は、当事者たちが語る貴重な証言集である。

 戦前、上海や中国東北部では、日中合作の映画が続々と作られた。この交流は、戦争と戦後の冷戦で限定的になった。本書の挿話の数々は興味深い。戦時中、中国で日本兵の慰問を行った女優の高峰三枝子が1972年に訪中した時、わっと泣いた理由。文革で迫害を受けて死んだ作家の老舎を追悼する作品を書いた井上靖が、文革末期に訪中した時の中国側の反応、等々。

 文革後、78年の日中平和友好条約締結の蜜月もあり、中国で空前の日本映画ブームが起きた。高倉健、栗原小巻、中野良子、山口百恵の各氏が中国で国民的な人気を博した。当時、採算を度外視して日中映画交流事業に傾注した徳間康快やすよしの知られざる思惑について著者の推察は鋭い。

 後半部、陳凱歌チェンカイコー張芸謀チャンイーモウなど中国の映画監督7人へのインタビューも興味深い。高倉健などの映画から多大の影響を受けた彼らが語る今後の展望は、示唆に富む。中国映画を見たことのない人にも一読をお勧めする。

 東方書店 2000円

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45133 0 書評 2018/10/22 05:21:00 2018/10/22 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181018-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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