『鳥居強右衛門 語り継がれる武士の魂』 金子拓著
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変貌し続けるイメージ
戦国時代の話。長篠城は武田勝頼の大軍に包囲された。城内から一人の使者が脱出に成功、徳川家康と織田信長に援軍を要請した。使者は仲間が籠もる長篠城に駆け戻った。今度は武田軍に捕まった。武田側は使者に、援軍は来ないので諦めて開城せよと言え、召し抱えてやる、と提案した。使者は承諾した。いざ城の前に出されると、彼は仲間に向かい、援軍は来る、と叫んだ。彼は惨殺されたが、長篠城は持ちこたえた。
この使者の名は鳥居
鳥居の壮烈な最期は、江戸時代の書物や、錦絵や歌舞伎、明治の国定教科書、吉川英治の小説、内田吐夢監督の映画などでも取り上げられた。戦時中の新聞は、インパール作戦で鳥居と同様の死を遂げた兵士のニュースを伝えた。戦後、国民の大半は鳥居を忘れたが、磔にされた赤裸の戦国武士という強烈なアイコン性ゆえ、今も一部「
実は、鳥居の実像は謎が多い。伝承や史料も異説だらけだ。東大史料
磔の話は、最初期の史料には見えない。背旗の絵図とは違う「
鳥居強右衛門のイメージは、語り継がれる過程でふくらみ、今も
◇かねこ・ひらく=1967年生まれ。東京大史料編纂所准教授。専門は中世史。著書に『織田信長権力論』など。
平凡社 1800円












