『世界の戦争廃墟図鑑』 マイケル・ケリガン著

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「世界の戦争廃墟図鑑」から
「世界の戦争廃墟図鑑」から

 作家の遠藤周作は随筆「廃墟はいきょの眼」で述べた。廃墟は、観光バスがまわる名所旧跡や遺跡とは違う。廃墟には、死という眼鏡を通して木や石や山を凝視し、あがき、もがいた人間の動きの跡が残っている、と。

 本書は、第2次世界大戦の廃墟や遺物を150点余の大判の写真と簡潔な解説文で紹介する。広島の原爆ドームのような歴史遺産もあるが、大半は訪れる人もまれな辺地の廃墟だ。地中海の潮風と陽光を浴びて海岸の岩場に同化しつつあるバンカー(掩体壕えんたいごう)。アフリカの砂漠の中にぽつんと取り残されたジープ。太平洋の青黒い海底に沈むびだらけの戦車や飛行艇。木も生えない北極圏の島に恐竜の骨のような残骸をさらす爆撃機、等々。

 人工物が長い歳月をかけて自然の一部になる時に放出されるエネルギーの暗さ(井上靖「運河」)が、心にじわりとしみる。岡本千晶訳。(原書房、5000円)

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51257 0 書評 2018/12/03 05:20:00 2018/12/03 05:20:00 「世界の戦争廃墟図鑑」から https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181126-OYT8I50034-T.jpg?type=thumbnail

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