評・加藤徹(中国文化学者・明治大教授)

『クラシック音楽全史』 松田亜有子著

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 昔、ソニー創業者の盛田昭夫氏は、渡米したとき「エコノミック・アニマル」と揶揄やゆされた。「東京フィルハーモニー交響楽団会長」の名刺も出すと、周囲の態度は一変、握手を求められたという。世界の教養文化の中でも、クラシック音楽は別格だ。

 クラシックの語源であるラテン語「クラシクス」の意味は広い。第一階級に属する、有事に艦隊を提供する市民、危機に際して精神の力を与える書物や作品、等も指す。

 西洋人にとって教養は力だった。クラシック音楽の発展も、宗教改革や市民革命、産業革命、ナショナリズムの台頭など、歴史の荒波と連動していた。音楽興業の手法を作ったヘンデル、王と教会に仕えたバッハ、各国をまわりフリーランスで稼いだモーツァルト、王侯貴族や国民ではなく人類のために曲を書くと宣言したベートーヴェン、ソ連体制下の不自由をバネに交響曲を書いたショスタコーヴィチ、等々、クラシック音楽は、作品も人間も劇的で面白い。

 著者は「音楽の力」の源を知るため大学の音楽科を卒業したビジネスパーソンで、本書には独特の英気がある。(ダイヤモンド社、1600円)

52261 0 書評 2018/12/10 05:20:00 2018/12/10 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181203-OYT8I50062-T.jpg?type=thumbnail

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