『海底に眠る蒙古襲来』 池田栄史著

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 2011年10月、長崎県松浦市鷹島沖の海底で、元軍船の竜骨と船底材が確認された。鷹島の浮かぶ伊万里湾一帯は蒙古襲来(元寇げんこう)の舞台のひとつで、それまでにも元軍の武具や銅印、中国製陶磁器などが見つかっていた。上記の船は1281年の弘安の役の際に、暴風雨によって沈没した多くの元軍船のうちの1隻と考えられる。

 水面下に存在している遺跡の調査研究を行うのが水中考古学である。地下の様子を探り、掘り下げ、発掘するという点では、陸上の考古学と同じだが、すべてが水中で行われるという点で、さまざまな困難が発生する。調査船にとりつけた全地球測位システム(GPS)で位置情報を計測しながら、音波探査装置で海底地形や堆積たいせき層の状況を探る。遺物に遭遇する可能性の高い場所を特定して、水中作業専門のダイバーが潜水して調査や発掘を行う。海底での船体の保全、引き揚げに向けての検討等、課題は多い。

 文字通り手探りで調査の条件や方法を整え、元軍船の発見にいたる経緯は、わくわくする水中考古学のドキュメンタリーである。(吉川弘文館、1800円)

60507 0 書評 2019/01/21 05:21:00 2019/01/30 13:35:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190117-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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