徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと ちきりん著 ダイヤモンド社 1800円

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家を自分に合わせる

 評・坂井豊貴(経済学者・慶応大教授)

 著者は20年前に購入したマンションに暮らす、元コンサルタントの文筆家である。あるとき著者はそのマンションを、いまの暮らし方に合わせるべく、リノベーションを行う。本書はそのときの体験と思考をまとめたものだ。住居の造りやリノベの目的は、人により様々であろう。しかしこの本はリノベを考える多くの人に、共通して役立つはずだ。

 著者はお金を介した取引を、「等価値交換」と「共同プロジェクト」に分けて考える。500円のお金と500円のお弁当を交換するような日常の買い物は、等価値交換である。一方、患者と医者が治癒に協力せねばならないような作業は、共同プロジェクトだ。このうちリノベは後者にあたると著者は指摘する。客は、等価値交換ではお金を払えばよいだけだが、共同プロジェクトだとそうはいかない。相手と目的を共有し、問題に対処しながら、二人三脚で目的を実現していかねばならない。

 というのも、リノベは不確実性に満ちているからだ。たとえば著者は工事前、業者に希望を伝えるが「壁や床を壊してみるまで、できるかどうかわからない」と告げられる。建物の図面にすべての情報が載っているわけではないし、図面と実態にはズレがありもするからだ。また、はりや照明など、作業の現場を見ながら決めたほうがよいものもある。だから工事では、業者との密なコミュニケーションが重要である。リノベは気楽なお買い物ではなく、「疑似的な仕事」のように捉えるべきものなのだ。

 こうしてリノベを完遂した著者の住まいは、万人向けではなく、本人が「圧倒的に暮らしやすい」ものだ。たとえばコンセントの位置が最適化されており、間取りは準ワンルームになっており、玄関では打ち合わせができるようになっている。自分が家に合わせるのではなく、家を自分に合わせるという、快適な暮らしへの果敢なチャレンジが語られている。

 ◇ちきりん=社会派ブログ「Chikirinの日記」を運営。外資系企業勤務などを経て、現在は文筆活動に専念。

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652413 0 書評 2019/06/23 05:00:00 2019/07/01 17:27:59 (13日、読売新聞東京本社で)=萩本朋子撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190622-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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