女性のいない民主主義…前田健太郎著

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評・苅部 直(政治学者 東京大教授)

 人類全体の近代史をふりかえった場合、民主主義を最初に確立した国はどこか。そのように問われれば、たいていの人はフランスやアメリカを挙げることだろう。しかし正解はニュージーランド。男性だけでなく女性にも参政権を認めることを民主主義の条件と見なすならば、いち早く十九世紀の末にそれを達成していたのである。

 これに軽い驚きを感じてしまうのは、これまで政治学が、女性の存在を視野から事実上はずしたまま、民主主義を定義し、その「発展」を語ってきたからだ。そう著者は指摘する。市民の政治参加や国会議員の活躍を論じても、そこでは成人男性しか念頭に置いていない。その問題は、男性が家庭の稼ぎ主であるとする「常識」の支配力がいまだに強い日本では、特に深刻である。

 この状態を変えるにはどうしたらいいか。著者は着実な分析手法を用いて、政党が女性を政治家として育てるしくみが不足していることに、問題を解く鍵を見いだす。日本の政治と、ジェンダーをめぐる問題の今後を考えるために、必読の一冊と言えるだろう。(岩波新書、820円)

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878189 0 書評 2019/11/03 05:00:00 2019/11/11 10:30:46 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191111-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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