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    最新刊に関する充実した書評です。

    『消滅遺産』 ナショナルジオグラフィック編著

    • (C)imageBROKER/Oliver Gerhard/amanaimages
      (C)imageBROKER/Oliver Gerhard/amanaimages

     砂漠に囲まれたシリアのパルミラ遺跡=写真=は、紀元前1世紀から紀元後3世紀にかけ、シルクロードの中継地として栄えた。美しいオアシス都市の遺跡は、かつて年間15万人以上の観光客を集めたが、2015年にイスラム過激派組織「イスラム国」により、無慈悲に爆破された。

     本書は、文化財保存の専門家が監修して、世界各国のもう見ることができなくなった文化遺産の、在りし日の写真を収める。

     戦乱下で意図的に破壊されたアフガニスタンのバーミヤン大仏やイラクのニムルド遺跡は愚行の象徴だが、それだけではない。都市化で壊された中国の北京城壁、地震で崩壊したイランの城塞じょうさい都市アルゲ・バムなど、失われた理由は様々だ。どんなに壮麗で、どんなに長く守られてきても、一瞬で壊れうる。文化遺産の、当たり前のはかなさに気付かされる。(日経ナショナルジオグラフィック社、2400円)(央)

    2018年05月28日 05時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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