ネット口座開設の「本人確認」を体験してみた

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東 一真

 最近、定年を迎えたのを機に、老後資金を計画的に分散運用しようと一念発起して、某ネット銀行と某ネット証券で、それぞれ口座を開設することにしました。銀行口座の開設は私にとっては20年ぶりくらいの一大イベントです。証券口座の開設は生まれて初めてです。口座開設にあたってとても興味があったのは、これらのネット企業が「本人確認」をどう処理しているのか、ということでした。

いかに短時間・簡単に口座開設できるかがカギ

 というのは、ネット銀行やネット証券にとっては、「口座開設をいかに短時間に簡素にネット上で完結させるか」は、とても大きな課題というか死活問題です。もしも、口座開設手続きが複雑で面倒だったら、手続きの途中で嫌気がさして、完了しないまま中断してしまう人が続出することでしょう。顧客をみすみす逃してしまうことになるわけです。

 一方で、銀行口座や証券口座の開設にあたっては、マネーロンダリング防止の観点から「犯罪収益移転防止法」で、本人確認を厳格に行うことが義務づけられています。ご存じのようにマネーロンダリングとは、特殊詐欺や麻薬取引などの犯罪で得た収益を隠したり出所をごまかしたりする行為で、これ自体が犯罪です(組織的犯罪処罰法違反、または麻薬特例法違反となります)。他人名義や架空人物名義の銀行口座や証券口座は、マネーロンダリングの温床となるため、日本だけではなく、各国とも本人確認を厳格化しています。

 つまりネット銀行やネット証券は、本人確認を厳格にしかし簡便に行う、という二律背反を抱えているわけで、これをうまく処理できるかどうかは、各社の腕の見せ所でしょう。

マイナンバ―カードや宅配業者との提携で本人確認

 というわけで、まず某ネット証券の口座開設をスマートフォンでやってみました。この証券会社の本人確認はシンプルなもので、マイナンバーカードを真上から撮影してその画像をアップします。さらに、マイナンバーカードを斜め上から撮影する画像もアップします。これは、カードの「厚み」を確認することで、本物のマイナンバーカードを撮影していることの証拠となるようでした。口座開設作業はネット上だけで15分程度で終わりました。

 次に某ネット銀行の口座を開設してみました。この銀行では、複数の本人確認方法から好きな方法を選択できました。スマホにアプリを入れてマイナンバーカードを撮影する方法もありましたが、すでに某ネット証券でやってみたので、今度は「宅配業者による本人確認」を選んでみました。

 これはネット上で住所や氏名、生年月日などの必要なデータを入力すると、後日、ネット銀行から口座の仮IDや仮パスワードが入った書類が、宅配便で届きます。それを受け取る際に、マイナンバーカードや運転免許証を提示して、配達員が本人確認をする、というやり方です。宅配業者と提携した、リアル本人確認ですね。

 口座を申し込んだネット銀行からは、書類の配送予定日が分かる宅配業者のウェブページのURLがメールで届きました。そのページを毎日チェックしていましたが、3、4日後にようやく配送予定日が表示されました。しかし、あいにく私が出社しなければならない日でした。宅配される時間に、本人、つまり私が家にいないといけません。妻が代理で私のマイナンバーカードを提示してもダメなのです。面倒な方式を選んでしまったな、とちょっと思いました。

 宅配業者のウェブページを探すと「再配達日時」を指定する欄がありました。再配達ではないのですが、この欄で都合のよい日を指定していいのでしょうか? よく分からないまま、希望配達日を指定してみました。結局は、それが正解だったようで、指定した日時に配達員の方が来てくれました。

 書類は「受取人確認サポート」と赤字で大書されたA4判の黄色い封筒に入っていました。「犯罪収益移転防止法に定める確認書類によるご本人様確認が必要な荷物です」と、ものものしく書いてあります。配達員にマイナンバーカードを提示して1、2分で無事に本人確認を済ませ、書類を受け取れました。

 今回の口座開設では、ネット企業の本人確認方法を知ることができて、とても面白かったです。

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2332032 0 デジタルコラム 2021/09/04 17:00:00 2021/09/09 16:57:02 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210823-OYT1I50083-T.jpg?type=thumbnail

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