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中学の時からキレやすい私、子育て中に見つけたイライラとの付き合い方

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 知り合いもいない東京で子育てに奮闘する元ヤンキーのアッコさんには、決して忘れることのできない授業があるのだそう。感情を抑えられない自分の弱さと怖さを知ったその日の経験は、子育てをしている今も彼女の心に重くのしかかります。人気コラム「元ヤン子育て日記@TOKYO」の7回目は、「元ヤン流のアンガーマネジメント」について。

中1の授業中の出来事は、今も恥ずかしさとともに思い出す
中1の授業中の出来事は、今も恥ずかしさとともに思い出す

 あれは忘れもしない、中学1年生の数学の授業中。

 当時流行(はや)っていた小説が面白くて、夢中になって読んでいると、授業の終わり頃に「バチンッ」と私の机が音を立てた。見上げると、黒板の前にいるはずの先生が大きな三角定規を手に目の前に立っていた。

 「おい! 何をしているんだ?」
 クラスメートの前で怒鳴(どな)る先生。私は恥ずかしさとイライラが混ざって、込み上げてくるものを抑えられなくなった。

 「てめぇの授業がつまんねぇからだろ?」
 そう吐き捨て、教室を飛び出した。

 今からでも当時のクラスメートに謝りたいくらい恥ずかしい出来事。親となった今、もし娘のクラスにこんな荒くれ者の小娘がいたら……これ以上はやめておこう。

 小さい頃から怒りを抑えるのが苦手な私は10代のほとんどを、こんな調子で過ごし、いつしかヤンキーと呼ばれるようになった。

 結婚して娘が生まれた今、昔よりはマシになったけど…怒りとの格闘は日々続いている。

 夜の我が家は戦場だ。

 戦いは夕方のキッチンからスタートする。公園でたくさん遊んでお(なか)()かせた娘が足にピタッとひっつき、「まんまー!!」と叫び始めるのだ。

 「すぐ作るから待っててねー!」

 なんて言っても、当然、待てるはずもない。こうなると、テレビの教育番組も、あんパンの顔をした空飛ぶヒーローも助けてくれない。

夕飯、お風呂、歯磨き……娘との格闘が毎晩続く
夕飯、お風呂、歯磨き……娘との格闘が毎晩続く

 「さぁ! 食べよう」

 やっとの思いで作ったご飯も悲しい末路をたどる。「バーン」とお皿をひっくり返されるぐらいならまだしも、何度口へ運んでも「プイッ」とされるのは本当につらい。

 その後は、お風呂に入っても、歯磨きをしても、「ギャー」と全身で抵抗して、2人きりの暗い寝室に泣き声だけが響き渡る。

 こうなると「いいかげんにしてよ!」と娘と一緒に泣き叫びたい気分。

 横で寝息を立てる娘の顔を見ていると、「天使だなぁ」と癒やされるけど、同時に「明日も娘と2人きりかぁ」という気持ちも正直、生まれる。

 そんな時、頭をよぎるのが虐待のニュースだ。
 加害者への許せない気持ちはもちろんあるけど、虐待してしまう気持ちも全く分からないわけでもない。

 キレやすい私でも、娘に手を上げたことは一度もない。ただ、子育ては思っていたより100倍大変だった。逃げ出したくなることは何度もあったし、娘と一緒に気が済むまで泣き叫んだこともあったかな。

 他のお母さんもこんなこと思うのかな? それともやっぱり私は感情を抑えられないダメな母親?
 不安ばかりが心に降り積もり、疲れてきっているはずなのになかなか寝付けなくなる。

 娘が暴れ回った日に限って、夫の帰りは遅い。仕事だとは分かっていても、「早く帰ってきてくれないかな」と待ちわびる気持ちは次第にイライラへと変わっていく。

 「ただいまぁ」と家に帰ってくるなり、「靴下は洗濯機へ持って行って」「お皿洗って」「静かに歩いて!」「もう! 何回言えば分かるの?」。

 心にたまったモヤモヤをはき出すように小言で攻撃開始! 夫は慣れた様子で、「はい」「ごめんね」と私の機嫌を損なわぬように返事をする。

 なかなか言うことを聞いてくれない娘とは大違い。
 大きな体を揺らし、ちょこまか動く夫を見ていると、なんだか面白くなってきて、私の眉間のしわも浅くなる。

 帰宅後のミッションを完了させた夫は、2リットルパックの焼酎をソーダで割って、テーブルに着く。そしてひと言、「今日はどうだった?」。

 子育ての話はそこそこに。昼間のワイドショーを見て感じたことをコメンテーターよろしく語ってみたり、日頃、疑問に思っている世の中のルールや常識について話してみたり……。

 焼酎を飲んでご機嫌な夫から「さすがですな!」なんて褒められるだけで、なぜだか心のモヤモヤはスッと消えていく。

 あの日の数学の授業から、私はずっと、怒りや不安といった気持ちをコントロールできない自分が大嫌いだった。だけど、最近は少し考え方が変わってきた。

 1人が無理なら、2人で。2人がダメなら、3人で。
 大人だからって、自分で抱え込む必要はないのかもしれない。

【次回更新は4月30日(木)の予定です】

 筆者(アッコさん)プロフィル
 1993年生まれの26歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と1歳の長女と3人暮らし。

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1168808 0 子育て 2020/04/16 10:04:00 2020/09/25 13:15:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/04/20200409-OYT1I50041-T.jpg?type=thumbnail

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