「ワンオペ育児」のモヤモヤ、私はこうして抜け出した
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家族も友達もいない東京で、子育てに奮闘する地方出身の元ヤンキー・アッコさん(26)にとって、大きな悩みの一つが「夫が仕事でやたらと忙しい問題」です。家事も子育ても一人でこなし、小さい娘と片時も離れずいる日々で、知らず知らずのうちにストレスがたまり、夫婦の間にも亀裂が生じます。人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回のテーマは、「ワンオペ育児」で考えたこと。
子どもができて知った現実

夫の帰宅時間はいつも遅い。
午後9時に帰ってくれば、「いつもより早いじゃん!」って感じで、日が変わってからの帰宅なんてザラだ。
2人で暮らしていた時は、全然気にならなかった。
「自分の好きなことして過ごせるわ~」って、仕事から帰宅すると、海外ドラマを見たり、ヨガへ通ったりってな感じで。
母親が一人で家事も育児も担う「ワンオペ育児」っていう言葉を初めて聞いた時だって、「なんじゃそれ、外で働くのも大変じゃない?」ぐらいにしか思っていなかった。
だけど、娘を妊娠した時から、私はその現実を知ることとなる。
夫は仕事に没頭、育児の負担は私の肩に
私と結婚してから、夫はそれまで以上に一段と「仕事人間」になった。やりがいのある仕事を担当するようになったことに加え、今時とは言えないかもしれないけど、「俺が家庭を支える」という気持ちが強かったのだと思う。
そんな頑張る姿を見て、私も夫を支えたいと思った。

妊娠してからも彼の負担になるまいと、出産前のパパママ学級も、
その後も似たような感じ。平日の家事や育児はもちろん一人でやるし、夫の助けを心待ちにしていた週末ですら、「ごめん! 仕事になった」と休みが帳消しになることもしょっちゅうある。
「仕事だから仕方ない!」「家事、育児に加えて、仕事をしていて、私より大変な状況の人はたくさんいる!」って自分に言い聞かせながらも、「2人の子どもなのに、なぜ1人で子育てをしているんだろう」とお
娘を産んで半年たった頃、夫が私にスマホの画面を差し出してきた。映っていたのは、「子育て支援センター」を紹介する区のホームページだった。
同じ思いを抱えたママたち
しばらくして、私はすがるような思いで子育て支援センターを訪れた。驚いたのは、思っていた以上にママさんがたくさんいたこと。みんな私と同じで、誰かの支えを必要としている人たちだと思うと、オアシスを見つけた気分。ホッとして、なんだか泣きそうになった。
何度か足を運んでいると、友達もできた。
「〇〇ちゃん、もうハイハイしてるー!」
「どこへお散歩に行っていますか?」
子どもの成長の話や、不安に思っていることなんかを話すと、すうーっと気持ちが楽になる。自分の話や、夫の話は一切せず、ただ子育てについて話すだけ。それがまた気楽で、自然とセンターの外に出て、みんなでランチをしたり、お散歩へ行けない雨の日に家で集まったりするようになった。
支援センターでの週に何度かの「息抜き」は、娘と2人きりで過ごす自宅での時間も変えてくれた。夫の帰りをただ待っていた頃と違って、せっかくだから、楽しもうという気持ちが生まれたのだ。
例えば、夕食の時間。毎日2人きりのご飯じゃ娘もつまらないかな、なんて思って、ぬいぐるみを食卓に集めてにぎやかな夕食会を開くことにした。プーさんはご飯食べさせ係、コキンちゃんはフルーツ食べさせ係。おっ、これは娘も上機嫌で食べてくれる。今度、みんなに教えてあげよう!という具合。
うまくいったこと、失敗したこと、いろいろあるけど、夫以外にも話ができる相手がいる分、前向きになれる。

「夫の休みが突然なくなる問題」は今も続いているけど、そんな時には、同じくワンオペのママ友に連絡する。
「今週の土曜日、予定空いていませんか?」
「うちの夫も仕事になったんです! 公園行きましょう!」
そして、息抜きを楽しんだ後は、こんな会話を交わすのだ。
「今日はお互い、とことん手を抜こうよ! たまにはいいでしょ」
よし! 今夜は、早めに娘を寝かしつけたらストレッチ、その後は、パックをしながら海外ドラマタイムだー! 自然にテンションも上がる。
夫も気づいた私の変化
「あれ? ちょっと雰囲気変わった?」
支援センターに通い始めてしばらくたったある日、帰宅した夫が、私を見て首をかしげた。
「そうかな?」。私はそっけなくそう返事した。
夫は知らない。私が娘を寝かせたあとに、筋トレをして、ストレッチをして、パックをして、スチーマーで顔の保湿に努めていることを。ママ友が増えて、昼間はちょくちょく家の外に遊びに行っていることを。
結局、我が家の「ワンオペ育児」は未だ解消されていないし、世の中には、家事や育児に加え、仕事もしているママさんはたくさんいる。家族のあり方は本当に多様だから、一概には言えないことだけど、私の場合……。
頑張ることより楽しむこと、家庭の問題だけど家庭の外に、ひとまずではあるけれど、自分は救われたと思う。ちなみに、私の心境の変化と同時に、夫の働き方も少し変わってきたのだけど……それはまた別の機会に。
筆者(アッコさん)プロフィル
1993年生まれの26歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と1歳の長女と3人暮らし。