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「牛タン定食」「納豆ご飯」にストレス爆発!

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 子育てって、なかなか親の思い通りにいかないものですが、元ヤンママのアッコさん(26)にとって、娘のご飯もえらくストレスがたまる問題だったのだそう。先輩ママさんたちがSNSにアップしているご飯の写真を見て、私も頑張ろう、と気合を入れていただけに、なおさらそう感じるのかもしれません。読売新聞オンラインの人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回は、娘の変わった食事について……。

食へのこだわり、娘は夫以上だった

夫が口にしたランチの値段にモヤモヤ
夫が口にしたランチの値段にモヤモヤ

 「こっちは忙しいんだ! いい加減にしてくれ!」

 ある日の夕方、夫は激高して電話を切った。

 原因は「牛タン定食1700円」。たまたま、その日のランチの値段を聞いたら、返ってきた答えだ。

 ……1700円!? 問いただすと、どうやら毎日このレベルのランチを食べているらしい。そのくせ、月末になると口癖のように「お金が足りなくて、仕事の飲み会に行けない」と愚痴ってくる。ついイラッとして、「ランチが毎食高すぎるんじゃない?」と嫌みを言ったら、キレられた。冒頭の言葉はそのときの捨て台詞(ぜりふ)だ(てか、そもそも、お前が電話かけてきたんだろ……)。

 元々、食に対するこだわりが異様に強いのは知っている。家族でお出かけしても昼食は必ず調べてから行くし、そうでないときは、いつまでも決まらない。「どこでもいいのに……」と思いながらも黙っていると、2時間近く悩むこともある。

 ただ、夫よりさらに厄介だったのは、娘の食に対する(かたく)なな“こだわり”だった。

離乳食を受け付けてくれない!

 娘がまだ母乳を飲んでいたときは、パクパクとご飯を食べる彼女の姿を想像するだけでワクワクした。SNSで「#離乳食」と検索すると、おしゃれに盛りつけられた離乳食と完食後の写真がずらりと出てくる。私も「おいしいものをたくさん作って喜んでもらおう」って思い、道具や食器を一式そろえて、その時期を待ちわびていた。ところが……。

 初めての離乳食に挑戦した日、娘は私の期待とは裏腹に一口も食べてくれなかった。

専門家に相談し、いろいろ作ってはみたが……
専門家に相談し、いろいろ作ってはみたが……

 「いや、まだ始まったばかりだし!」と前向きになれたのは開始から1か月まで。

食材をゆでて、すり潰して、手間をかけて作っているのにほとんど食べてくれない。おまけに一度、冷凍して保存すると一切口をつけなくなるから、毎度毎度、一から作らなければならなかった。

 「今日も離乳食完食!」「たくさん食べて大きくなってね」――
 SNSのタイムラインは、そんな他のママさんたちのうれしそうな言葉で埋め尽くされていただけに、離乳食問題は余計、私の中でストレスになっていった。

 どうにかして楽になりたい、と小児科の先生、保健師さんなど、手当たり次第に相談した。それぞれ言うことが違ったけれど、全て実践してみた。

 おやつを与えて一日の栄養素を増やす→お(なか)いっぱいになって、ご飯を食べなくなった。
 何でも細かく刻んで、ご飯に混ぜる→すぐに野菜を見つけて吐き出す。
 そのほか、薄味にする、大人と同じ味付けにする、足りない栄養素をサプリメントで補う、ベビーフードを使ってみる……ダメ、ダメ、ダメ。全部ダメ!

 結局、娘は離乳食をほとんど食べないまま、幼児食へ突入した。

 それからも、あれは食べるかなー?、これは食べるかなー?と試行錯誤する日々が続いた。そしてたどり着いた結論。

 「納豆ご飯しか食べない」。

 でも、結局、諦められなくて毎食いろいろと作ってしまう。テーブルに残された「渾身(こんしん)の一皿」を見つめながら、毎日納豆をかき混ぜる自分が情けなかった。

「お」作戦、大成功!

 突破口はお風呂にあった。我が家の教育秘密兵器「五十音表」の「お」。「おにぎり」だ。
 娘はお風呂で「おに! おに!」と連呼する姿を見て、……ひょっとして?

 ある休日の朝、私は台所でせっせとお弁当作りに励んでいた。唐揚げ、ウインナー、卵焼き、ブロッコリー、プチトマト……。この日は、家族で公園へピクニックに行くことになっていた。

突破口は意外なところにあった
突破口は意外なところにあった

 「どうせ娘は食べないから、俺が全部食べるわ」。缶ビールをこっそりリュックに入れながら無神経に言う夫。私は聞こえないふりをして、最後の仕上げに、お風呂の五十音表のイラストに似せた「おにぎり」を弁当箱に詰めた。

 作戦は大成功! 公園に着いてお弁当を広げると、娘は「あー! おに! おに!」と叫び始めた。手元に持っていくと、サケおにぎりをぱくり。気分が乗ってきたのか、家では手をつけなかったウインナーやブロッコリーにもそのままかぶりついた。

 あぁ、娘のテンションが上がるピクニックまで、作戦決行を待って良かった。無性にうれしくなって、最近緩くなった涙腺が崩壊した。

 今も娘が食べてくれる物は少ないし、食事のメインはこれまで同様、「納豆ご飯」。SNSでアップされてるような、ステキなご飯にはほど遠いかもしれないけど、最近は時々、ホッケやサツマイモの甘露煮、味噌(みそ)汁なんかに手を伸ばしてくれることもあって、そのたびにうるうると感動させられている。少なくとも……。

 小さな口から糸を引きながらニヤリと笑う娘を見て、「たくさん食べて偉いね」と褒められるようになった分、少しは私も成長できたのかなと思う。1700円の牛タン定食には(いま)だに納得できないけれど……。

【次回更新は8月6日(木)の予定です】

 筆者(アッコさん)プロフィル
 1993年生まれの26歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と1歳の長女と3人暮らし。

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1361080 0 子育て 2020/07/23 10:00:00 2020/07/23 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200721-OYT1I50038-T.jpg?type=thumbnail

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