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東京で子育てに奮闘する地方出身の元ヤンママ・アッコさん(26)。最近、妙にナマイキになってきた娘を見て、ふと自分の両親の顔を思い浮かべたのだとか。グレにグレまくった自分のこと、二人はどう思っていたんだろう……。読売新聞オンラインの人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回のテーマは、子を持つ親の気持ちについて。
もうすぐ2歳…とにかくナマイキな娘にイラッ
もうすぐ2歳になろうとする娘はとっても手がかかるオマセさんだ。
目を離した隙にあっちに行ったり、こっちに行ったり。最近は口も達者になってきて、とにかくナマイキ!
でも、夫
え? 2歳児より聞き分けの悪い成人女性ってどういうこと? つーか、よくそんなこと思いながら結婚したな! 心の中で突っ込みを入れながら、昔を思い出してみる。
当然、2、3歳の頃のことは覚えていない。だけど、10代の時は、うん、確かに。親の言うことなんかひとつも聞かなかった。いまの娘ですらイラッとくるのに、体の大きくなった「聞き分けのない子」って、メチャクチャ大変じゃないか。
そういえば、両親は私のこと、どう思っていたのだろう。
久々の帰省…幼少時の写真見て、ふと気付く

新型コロナの感染拡大による移動自粛が解除された後、私は気分転換に1週間ほど実家へ帰省した。
いつものように「おかえり」と笑顔で迎えてくれた両親。顔を見ると、なんだかすごくホッとした。春からの自粛生活にワンオペ育児。最近、ストレスがたまることが多かったからなぁ。
久しぶりにじぃじ、ばぁばと会う娘も案外すんなりなじんだ。「じぃじ!」「ばぁば!」と笑顔で呼んで、ずっと後をついて回る。一緒にお風呂に入ったり、公園へ行ったりして、とにかく四六時中「じぃじ!ばぁば!」。両親も眉をハの字にして初孫に手を引かれるままだった。
そんなある日、居間のソファでくつろいでいると、テレビの横にあった写真立てが目に入った。家族みんなで笑っている写真に3
どれも、私のスマホに入っている娘の写真と同じで、楽しそうなものばかり。
はたと気づいた。
この時、両親は、いまの私と同じ気持ちでシャッターを切っていたのかもしれない。娘の成長を喜び、明るい未来を思い描きながら……。
独身の頃の私は、親の気持ちなんて全く考えたことがなかった。
一人で生きていると勘違いして、やりたい放題。家庭でも学校でも反抗しまくっていると、両親は次第に私のやることに干渉してこなくなった。
タトゥーを入れた時も、もちろん相談はなし。初めてお
夫との交際が始まる前に付き合っていた「自称ラッパー男」を引き合わせた時にも、ちょっと困惑しつつ「あなたが選んだならいいんじゃない?」って言われた。
当時は「うるさいこと言われなくてラッキー!」程度にしか思っていなかったけど、いまはちょっと違う。もしかしたら、どうしたらいいかわからなくて、胸が張り裂けそうなほど
出るわ出るわ…私も覚えていない「やんちゃ話」

ある夜、娘が寝静まったあと、両親に聞いてみた。
「そこの写真見て思ったんだけどさ、私がグレて、悲しかったよね?」
母は一瞬、驚いた表情を浮かべ、笑った。
「そりゃ、毎晩悩んで、泣いてたわ!」
やっぱり! てか、泣いてたの?
すると、ここぞとばかり、出るわ、出るわ。昔のやんちゃ話。
「あの車の事故を起こした時はさ……」
「夜遊びを注意したら、こんなふうに
もし私が娘にされたら、ショックで立ち直れないほどのヘビーなエピソードを笑いながら話す両親。しかも、「自分は自分の好きなように生きる」と言ってたくせに、そのほとんどを私自身が覚えていない。顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
聞けば、タトゥーを初めて見た日の夜も、母は私のいないところで泣いたらしい。
「本当にごめん」。そう謝った私に、母はまたまた驚いた表情を浮かべ、「いまが幸せなら、それでいいんだよ。それも成長の過程だってこと」とだけ言った。
娘がグレたら…「成長の過程だった」と言えるかな
東京へ戻ると、また慌ただしい毎日が始まった。

娘は相変わらず、くそナマイキな態度をとりながら家中を荒らしまくっている。
夫も仕事漬けの毎日。しかも帰ってきたと思ったら、すぐにご飯を食べて、つい最近買ったゲームを始める。
もちろんイラッとしないこともない。ただ、ちょっとだけ特別な帰省を終えたいま、そんなカオスな日常も温かく見守れるから不思議だ。
ある日、ゲームをしていた夫に聞いてみた。
「もし娘がグレたらどうしよう」
すると夫は「俺たちの子でしょ? グレるんじゃない?」とさらりと言う。彼に言わせれば、「人を傷つけなければ、どんなにやんちゃでもいい」らしい。
なるほど……。そうきたか。
私は、娘には真っ
多分、根底には、過去へのコンプレックスがある。親も含め、いろんな人に迷惑と心配をかけまくり、学歴もまともな職歴もなし。要は、自分みたいになってほしくないという気持ちだ。
でも、最近、知った。そんな私の過去を辛抱強く見守ってくれていた人がいる。
もし娘が、自分の望まない道を歩み始めたら、私はどう思うだろう。
「成長の過程だった」って、いつか笑顔で振り返ることができるのだろうか?
今更だけど、両親と話したいこと、山ほどある。
筆者(アッコさん)プロフィル
1993年生まれの26歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と1歳の長女と3人暮らし。