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また緊急事態宣言、仕事ばかりになる夫に泣きじゃくった私

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 昨年に続き、再び新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出た東京。都会での子育てに奮闘する地方出身の元ヤンママ・アッコさん(27)もストレスや不安と闘う日々を送っています。先日は、連日の仕事で忙しい夫と大ゲンカになったのだそうで……。読売新聞オンラインの人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回のテーマは、2度目の緊急事態宣言で気づいたこと。

結婚して夫は変わった

 「だって、もうおかしいよ~。昔なら、もっと優しかったもん。付き合ってる時はこんなに怒らなかったのに~」

 年が明けたある日の深夜、私はリビングの机に突っ伏して号泣していた。もう27歳だというのに、子どものように泣きじゃくった。お母さんとして、妻として、緊張の糸が一気に切れてしまったかのように……。

机に突っ伏して号泣してしまった
机に突っ伏して号泣してしまった

 夫は少し困った顔をしながら「温かいお茶でも飲む?」とマグカップにお茶を入れてくれた。私はそれを飲みながらも何度も鼻をすすった。
 ひどいことを言ったのは、分かっている。だけど、この気持ちはどうにも抑えようがない。母親だから、妻だから、誰かに甘えちゃいけないのだろうか?

三が日から仕事ずくめの夫から「我慢できるでしょ」、そうはいかない子育て

 「ママー? ママー? ママーーー!!!」

 話は年始にさかのぼる。

 元気いっぱいの娘が大声で私を呼んでいる。40平米もない1LDK。連呼する声が耳に響いてイライラする。いつもなら、かわいいと受け止められるんだけど、年明けの三が日から夫は仕事ずくめだった。

 「いつまで子育て続くのかなぁ……」
 「……はぁ、(つら)い」

 連続勤務は1週間。夫は「そのくらい我慢できるでしょ」といった様子だが、そんな簡単にはいかない。

 娘が生まれてから2年間、いろいろな感情と向き合い、母親として成長したつもりだ。
 何にでもかみついていた昔と比べて我慢強くなったし、娘のワガママを聞き流すスキルも身につけた。でも、娘は一段飛ばしでドンドンと成長していく。最近は私が、母として成長するスピードがそれに追いつけてないと感じることも多く、たった1週間で娘がもう別の生き物に見えることもある。

 夫とその様子を共有できれば「成長したね」とほほえましく見られることも、一人で向き合っていると怖くなる。言うことを聞かない娘に大きな声で怒ってしまったこともあるし、パチンと頭を(たた)いたこともある。そして夜には、「なんてかわいそうなことをしたんだ……」「なんてひどい母親なんだ……」って、泣きながら反省し、こう思うのだ。「私なんかが、ちゃんとこの子を理解して、しっかり育てられるのかな」って。

 でも、現実は無情だ。年始からずーっと、仕事をしていた夫を待ち続けていたら、1月3日の昼、テレビからこんなニュースが流れてきた。

 ――新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は緊急事態宣言の再発令を検討しています。

「ガチャガチャする!」「おやつ!」 スーパーを走り回る娘

緊急事態宣言が再び発令された。また夫は毎日出社か……
緊急事態宣言が再び発令された。また夫は毎日出社か……

 「世間が大変な時に大変になる仕事だから」
 初めて、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令された時、夫はそう言って、毎日出社していた。

 (またかよ……)
 これで、夫はまた仕事ばかりの日々になるだろう。休みは消し飛び、しばらく娘と二人っきりのワンオペ育児が続くことになりそうだ。

 ブーッ、ブッブッ、ブー。
 携帯が震えたと思ったら、やっぱり夫。「悪い。明日もちょっと出ることになったわ」。三が日は出社したので4日は休みだったのだが、やはり……。「うん。分かったよ」。なるべく夫の機嫌を損ねないように。冷静さを取り繕ってみたものの、ずーんと全身が重くなるような感覚に襲われた。

 さて、私は私のやることをやらないと。
 スーパーへ買い物に行く。幸い、この前みたいなひどいことは起きていない。マスクも除菌シートもトイレットペーパーもティッシュペーパーもきちんと在庫があった。

 初めての緊急事態宣言の時、「納豆」が売り切れていたのは衝撃だった。当時は納豆ご飯しか食べなかった娘が飢え死にするんじゃないかと本気で心配になり、スーパーを納豆のために走り回ったっけ。

 ただ、あの時とは違ってやっかいなのは、娘が自分の好きなように走り回るようになったこと。「ガチャガチャする!」「おやつ!」「ミニーちゃん!」と、大好きなものを見つけては、スーパーを駆け回る。私は、そのあとをとぼとぼと付いて行くのだ。

 小さな怪物と一人で向き合う日々がまた、始まる。

「3連休も仕事になるかも」にイラッ はぁ? 何、それ?

初めての宣言のとき、ドラッグストアからはトイレットペーパーもティッシュペーパーもなくなっていた
初めての宣言のとき、ドラッグストアからはトイレットペーパーもティッシュペーパーもなくなっていた

 年明けから、夫が夜中まで帰ってこない日が続いたが、私はキレることなくお利口さんに待っていた(と思う)。毎日、顔を見ない夫の晩ご飯を作り、朝はシンクに置かれた食器を片付け、娘と二人で公園へ行き……。

 頑張れたのには理由があった。1月9日からの3連休で夫は休みを取る予定だったのだ。とにかくそこまでは何とか我慢する。それだけが心の支えだった。

 2歳の娘の人生の半分は、新型コロナウイルスの流行期。とっても大変な時代に生まれてしまったと改めて思う。

 動物園も、遊園地も、水族館も、全部予約制でなかなか連れて行ってあげられない。
 「ぞうさん見たいなぁ」「ミニーちゃん会いたい」。そんなふうに言われると、胸が痛い。

 ただ、私一人では娘を連れて遠出をするのも難しいし、せめて夫がいるときに、気分転換に少し遠めの公園にお出かけしたい。そんな期待を胸に抱いていた。

 だが、3連休の直前、予定を立てようと深夜まで帰りを待っていた私に夫はこう言った。

 「3連休も仕事になるかも……」

 はぁ? 何、それ?

 思わずイラッとして、私はつい嫌みを言ってしまった。
 「あのさ~、二人の子どもじゃなかったっけ?」「そんなに子育てに協力できないなら、あなた一人で単身赴任してくれない?」

 すると、夫はみるみるうちに顔色を変え、どなりだした。
 「じゃあお前が働けよ!」「誰のために働いていると思ってんだ!」

「お前が働け!」 心の中で何かがプツンと切れた

結婚前の夫は、私の話を辛抱強く聞いてくれたっけ
結婚前の夫は、私の話を辛抱強く聞いてくれたっけ

 結婚する前、夫はすごく優しかった。私の機嫌が悪くても「どうしたの?」と言って、ちょっと困った顔をしながら話を辛抱強く聞いてくれた。道路では常に車道側を歩いてくれた。私のワガママも、笑顔で受け流せる包容力があった。お金はなくても、見た目はちょっとイマイチでも、大切にされているなぁ、という実感が、立ち直りへの原動力になったと思っている。

 だから、ちょっとイジワルを言っても、昔みたいに「ゴメン、ゴメン」と言って愚痴を聞いてくれると思っていた。まさか「お前が働け!」なんて言われるとは思わなかった。普段の私なら、拳を握って、夫のビール腹を思いっきりぶん殴る……というところなのだが、この時は心の中で何かがプツンと切れた気がした。

 で、冒頭のギャン泣きである。

 「だってぇ~! もうおかしいよ~。もっと優しかったのにー!」

 もう子育てとか、良い妻とかどうでもよくなった。へたり込んで、ギャーギャーと声をあげ、鼻水を何度もティッシュで拭きながら泣いた。

 夫もいつもと違う私の反応に、私の前を右往左往しながら、「ティッシュいる?」「温かいお茶いる?」と聞いてきた。最後には隣に座ってうん、うんと話を聞いてくれた。何を話したかは覚えてない。

吐き出したかったのは、心のモヤモヤ

夫が入れてくれた温かいお茶を飲み、気持ちは落ち着いた
夫が入れてくれた温かいお茶を飲み、気持ちは落ち着いた

 恥ずかしい話をあえてしたのは、どうしようもない心のモヤモヤを吐き出したいと思ったから。

 こんなに辛い状況だけど、世の中のために、毎日仕事を頑張っている人がいる。
 緊急事態宣言で仕事がなくなったり、お客さんが減ったりして大変な思いをしている人がいる。
 みんなが頑張っているから、頑張らなきゃと思ってきた。だけど……。

 弱音を吐いちゃ、ダメだろうか。わがままを言ったらダメなのだろうか。

 珍しく夫がブチ切れたのも、多分、彼自身も心に余裕がなくなっていたから。家族を気にかけながら仕事を続けてきたし、私と同じで心がポキッとなる寸前だったのかもしれない。

 結局、昨年暮れから働き通しだった夫は、3連休にはしっかり休むことができた。お正月に休みを取った同僚がカバーしてくれたらしい。お休み中に科学館へ連れて行ってもらった娘は、ロボットにいたく感動したようで、「アシモになって!」と夫にせがんでいる。

 残念ながら夫も私もそんなに強い人じゃないから、頑張り続けるのはどうも無理らしい。
 だけど、今回のケンカで、ちょっとした息抜きと娘の笑顔で、またしばらく頑張れることも分かった。

 とりあえず今、気負いすぎるのはしばらくやめてみることにする。
 夫の帰りが遅いなら、ご飯は手抜き。娘が見たいと言えば、テレビも見せるし、公園に行かない日があったって、全然オッケー。夫にも仕事の日はバリバリ働いてもらい、お休みは思い切って同僚に頼ってもらう。何から何までちゃんとしようとすると、多分、withコロナの時代を乗り越えるのは難しい。

 支え合いならぬ、ちょっとした甘え合い。2度目の緊急事態宣言を受けて私と夫の間に芽生えた、「合言葉」である。

【次回更新は2021年2月11日(木)の予定です】

筆者(アッコさん)プロフィル
 1993年生まれの27歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と2歳の長女と3人暮らし。

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1802347 0 子育て 2021/01/28 10:24:00 2021/01/28 10:24:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210126-OYT1I50053-T.jpg?type=thumbnail

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