読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

憧れの東京暮らし…「オシャレでカッコイイお母さん」の夢破れた後にできた目標

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 東京で子育てに奮闘する地方出身の元ヤンママ・アッコさん(27)が、憧れだったという東京に引っ越してから、もう2年半がたとうとしています。都会での子育てを通じて、自分はどう変わったのか。読売新聞オンラインの人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回のテーマは、東京で直面した理想と現実――について。

複雑な東京のメトロも使いこなせるように

 生まれ育った地元には、私鉄が1本とJRが1本の2路線しか電車が走っていなかった。
 電車の本数は通勤・帰宅ラッシュ時でも1時間に4本ほど。車を持っていなかった学生時代は電車の時間に合わせて行動する毎日だったけど、東京では、次から次へと電車がやってくる。

東京に引っ越してきた頃は電車に乗るにも驚いてばかりだったが、今ではメトロも使いこなせるように
東京に引っ越してきた頃は電車に乗るにも驚いてばかりだったが、今ではメトロも使いこなせるように

 「都内に線路って何本あるんだ? 地下鉄とメトロって何が違うんだろう……」
 引っ越してきた頃は電車に乗るにも驚いてばかり。キョロキョロとあたりを見回しながら生活していたら、あっという間に2年半がたった。

 今となっては、普通に“メトロ”を使いこなし、都会を歩く自分が当たり前に。どこの街に住みたいかみたいなママ友との議論にも、なんとな~く参加できるようになったし、「王様のブランチ」の楽しさも分かるようになった。

 逆に、久しぶりに地元に帰ると「空気がきれいだわ~」と感じる。
 「え? 東京と空気違うの~?」と駅まで迎えに来てくれた弟が冷やかすように聞いてくる。いやいや、まじで違うから!

 私は東京に住むようになって、どう変わったのだろうか。

 今回は「東京」について話そうと思う。

表参道に銀座…街めぐりの楽しみが出産で一変

 先日、地元の友達から電話があった。
 「東京はいいよねー……だって、遊ぶ場所たくさんあって、オシャレな物もあるしさ!」

 彼女と同じで、オシャレなモノとカッコイイ人で埋め尽くされる東京は、私の憧れの場所だった。

 夫の転勤で引っ越してきた頃は、隅から隅までこの街の全部を見たいと思うほどにワクワクしていた。臨月でやることがなかったので、インスタグラムとグーグルマップを使って、行きたい場所をチェック。表参道、銀座、六本木、代官山……。夫の休日には色んな場所へと繰り出した。

表参道、銀座、六本木、代官山……。子どもが生まれる前は、夫の休日に色んな場所へと繰り出したが……
表参道、銀座、六本木、代官山……。子どもが生まれる前は、夫の休日に色んな場所へと繰り出したが……

 どの街も期待通りのキラキラぶり。「あれもかわいい!」「これもかわいい!」「欲しい!欲しい!」と思っても、値段を見ると「げっ!高っ!」と現実に引き戻される。「東京は金持ちのための街だな」なんて夫と笑い合いながら、気持ちに折り合いをつけてきた。

 でも、そんな日々も一瞬で終わりを告げた。子どもが生まれると、朝から晩まで家事、育児、家事、育児、家事、育児――。

 夫の仕事も忙しくなり、一日の大半の時間を娘と2人きりで過ごすようになった私の生活は、子育て一色に染まっていった。

 メイクは面倒になったし、欲しい物と言えば、きれいなお洋服よりも、バシャバシャ洗えて安い洋服。美容室だってここ1年ほど行っていない。

 以前、このコラムで「いつかお小遣いをためて、バッグを買う!」なんて言っていたけれど、ステキなアクセサリーも、お洋服も、バッグもいまだに買えずにいる。

 自分の気持ちは、「オシャレ」とか「カッコイイ」から離れてしまったのかもしれない。

 「東京に住むのは楽しいでしょ」と声を弾ませて話す地元の友人に、「う~ん……」。私は一瞬、返事に困ってしまった。

周囲のママと自分を比べて落ち込む

 娘が生まれて間もないころ、同じぐらいの月齢の赤ちゃんがいるママ友の家で不思議なオモチャと出合った。木の板からヒモがたくさん出た、見たこともないへんてこなオモチャ……。

 「なんじゃこりゃ」と興味津々でいると、そのママ友は優しく教えてくれた。

 「子どもの指先運動ってとても大切なのよ。ヒモを引っ張る動作も脳の発達を促すの」

 脳の発達を促す……? 頭の中がハテナばかりになりながら、「え? これ手作りなんですか?」と聞くと、ちょっぴり誇らしげなママ友。普段から「モンテッソーリ教育」というものに取り組んでいるらしい。むむむ。初めて聞いた……てか、何語?

どのママ友の家に行っても、手作りオモチャが何個もあったり、絵本がずらっと並べてあったり
どのママ友の家に行っても、手作りオモチャが何個もあったり、絵本がずらっと並べてあったり

 でも、この人が珍しいわけではなく、どのママ友の家に行っても、手作りオモチャが何個もあったり、絵本がずらっと並べてあったり、幼稚園探しに余念がなかったり……。なんだか「立派な子育て」をする人ばかりに見えた。

 それに引き換え私は、娘の世話をするだけでいっぱいいっぱい。「私はなんてポンコツなんだろう」とこれまで何度、落ち込んだことか。

 働くママもたくさんいる。
 「女性が活躍できる職場を作りたいじゃない?」。そう語るのは、有名企業に勤める近所のママ友だ。なんでも、彼女は社員が育休や産休を取りやすくなる世の中を作りたいと、会社の仲間と小さな団体を設立したという。

 子育てに仕事におまけに社会貢献まで。学歴もないし、仕事もしていない私はあまりのパワフルさにあっけにとられた。「そんな先輩がいたら心強いですね」と分かったような口をききながら、なんだかカラッポな自分に落胆した。

「何もない自分」から抜け出したい

 地元で暮らしていた時に思い描いた「東京での自分」はもっとキラキラしていた。

 子どもを育てながら、どこか良いタイミングでまたアパレルで販売の仕事をしてみようかな。おオシャレな街でガンガンお洋服を売って、休日には家族でお出かけ。仕事も子育ても充実させちゃおう! な~んて、“強く”生きる生活を夢見ていた。

 だけど実際にはそんな簡単なものじゃない。
 2日に1度は同じ服を着て、子どもに全集中。仕事をしようと思っても「働いていない人は保育園に入れられない」「保育園に預けられないから働けない」ループ。夫は仕事で帰ってこない。

この2年半で私の夢はいつの間にか変わっていた
この2年半で私の夢はいつの間にか変わっていた

 「何もない自分」から抜け出せなくて葛藤する毎日の繰り返しに、地元に帰りたいと思ったのは一度や二度じゃない。両親や友達に囲まれて、楽しく、安らかな気持ちで子育てや育児に取り組めたらどんなに素晴らしいことだろう。

 ただ、ふと想像してみる。
 もし自分が東京に出てきてなくて、「何もない自分」に気づかないままだったとしたら……。その先に待っているのはどんな人生だったのだろう。

 子育てをしながら社会貢献をしたいと頑張るママ。
 仕事で成功をつかむためにキャリアを積むママ。
 子どものために少しでも良い教育をと勉強に励むママ。

 東京での刺激的な出会いは、私に目標も与えてくれた。「オシャレでカッコイイお母さん」から「どんなときも全力で娘と向き合うお母さん」へ。この2年半で私の夢はいつの間にか変わっていた。

 「東京で楽しく暮らしてる?」と聞かれると悩んでしまう。
 だけど、「住んでみてよかった?」と聞かれたら、私は「うん!」と答えるだろう。

【次回更新は3月25日(木)の予定です】

筆者(アッコさん)プロフィル
 1993年生まれの27歳。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と2歳の長女と3人暮らし。

無断転載・複製を禁じます
1902364 0 子育て 2021/03/11 10:11:00 2021/03/11 10:11:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210309-OYT1I50107-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)