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子供たちの想像力~葉っぱって全部落ちる?

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三つ子ちゃん×辻仁成 子育てエッセー第2回

(c)Nicole Lambert

- ねえ、ねえ、葉っぱって、全部落ちると思う????(訳・辻仁成)

幼い子供たちはみんな天才だな、と感心させられてしまう~エッセー・辻仁成

 子供たちの好奇心というのはとってもシンプルなものだと思います。シンプルだけど、そのまなざしの中に大きな成長の可能性が潜んでいるのだと思います。幼児は本当に世界をよく観察しています。とくに植物とか自然をじっと見ています。一緒に公園に行くとよくわかります。彼らは発見の天才ですから、落ちてる石の形や、落ち葉の模様とか、壁のひびとか、とにかくいろいろなものに目移りしながら、そこに何か意味を見つけようとします。それがぼくは大好きで、同時に、幼い子供たちはみんな天才だな、と感心させられてしまうのです。

 大人になるにつれ、人間は想像力が鋳型にはまっていくというのか、もう、落ちてる石とか落ち葉なんか気にも留めなくなります。石は石に過ぎなくなり、落ち葉はゴミになります。

 ぼくはうちの子が拾った落ち葉を全部保管しています。古い本に挟んでいるんです。先日、フランソワ・モーリャックの「パリサイの女」を久しぶりに捲ったら、マロニエの葉っぱが出てきました。すると、息子がそれを拾った時の記憶が蘇ったのです。彼が3歳の時にリュクサンブール公園で拾った落ち葉でした。

 その古本は5区の古本屋で見つけて、学生の頃に読んだことを思い出して買ったもの。もちろん、その時はまだ読む力などなかったのですが、在仏18年になるので、ちょっと目を落としてみようかな、と思って開いたら、思わず苦笑してしまいました。その子ももう16歳です。13年前の落ち葉を見ながら、彼が育ってきたこの世界を振り返りました。

 ぼくはできるだけ、ああしなさい、こうしなさい、ということを言いません。できることなら花を育てる人のように、子供を大切に育てていきたいと思っています。余計な期待をしなかったので、彼は純朴に優しい人間に成長していると思います。再び本を閉じ、書斎の本棚にそっと戻しておきました。いい思い出とともに。

「三つ子ちゃん×辻仁成の子育てエッセー」一覧はこちら

作者プロフィル

 ニコル・ランベール(Nicole Lambert)

 1948年、パリ生まれ。美術学校を経てモデルとしてのキャリアをスタートし、その後、子供服やおもちゃのデザイナーとして働き始める。雑誌向けにイラストを描くなかで、1983年に『マダム・フィガロ』で「三つ子ちゃん(Les Triples)」の連載を開始。同作は人気を集め、世界で翻訳・販売される。日本ではフランス国外で初めて書籍化された。テレビ化もされ、近年は世代を超えて親しまれている。一男一女の母。

 辻 仁成(Tsuji Hitonari)

 1959年、東京生まれ、パリ在住。作家。89年「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞。97年「海峡の光」で芥川賞、99年「白仏」のフランス語翻訳版「Le Bouddha blanc」で仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。長男が小学5年生の頃から、シングルファザーとしてパリで子育てを行う。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Webマガジン「Design Stories」主宰。

無断転載・複製を禁じます
1040212 0 三つ子ちゃん×辻仁成 2020/02/14 09:30:16 2020/02/21 11:52:03 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/02/2005-toutes-les-feuillests-02.jpg?type=thumbnail

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