50歳 おや? ひとりだぞ?…森口博子さん ひとりインタビュー全文

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「もともと涙もろいんですけど、最近拍車がかかって」。シングル生活を語る森口博子さん(東京都千代田区で)=岩佐譲撮影
「もともと涙もろいんですけど、最近拍車がかかって」。シングル生活を語る森口博子さん(東京都千代田区で)=岩佐譲撮影

 *ひとりインタビュー…歌手 森口博子さん 50

 

 ――微妙なテーマのインタビューをお引き受けくださり、ありがとうございます。

 「大丈夫です(笑)」

 ――50歳前日に、センチメンタルになって涙が出たとネットの日記に書いていらっしゃいましたね。

 「50という数字が、とてつもなく大きく感じたんです。それだけたくさんの方々の支えで生かされて来たんだなっていう思いと、4歳から『歌手になりたい』と言っていたその夢の中を生きることができて幸せだな、まだこれからだなっていう思いと、おや? ひとりだぞ? っていう」

 ――40と全然違いますか。

 「違いますね。あと10年で還暦じゃないですか。還暦を過ぎて終活を始めたよ、とか芸能界の先輩からも聞くんですよね。人生のカウントダウンは待ってくれないんだなって」

 「50歳になる日は福岡の実家に帰ってたんですけど、ピーって0時になったときに、嫁いだ姉とか、めいっ子とかみんながサプライズで、『ひろちゃんおめでとー』って、ブーケとプレゼントを持ってきてくれて、『体大事にしてね』ってウナギ持ってきた姉もいて。翌日にはレストランで改めてパーティーして盛りあげてくれたんです。こんなに居心地のいい家族とおいしいねってご飯を食べられる幸せをかみしめて、『あ、でもこれは、永遠じゃないんだな』って思ったときに、涙があふれちゃった。でも1日過ぎたら、いつもの日常で、おセンチになってる時間がもったいない! やることを丁寧に、この先もやりたいことがたくさん、と思いました」

 

中高生のときは、24歳で結婚しようと……

 

 ――お若いころは結婚とか家庭っていうイメージはあったんですか。

 「中学、高校のときは、24歳で結婚したいと思ってたんです。ちょうどいいなって。実際にデビューして24になったら、まだまだ、30代ぐらいでいっかー。30代になったら、経験とかも仕事に生かされてきてる時期で、これで結婚なんてありえないと。40代に入ったら、ま、いつかするかな、ぐらいの……。で、40代後半になってきて、しといたほうがいいよねって、まわり見渡したときに、あれ?って遅ればせながら気づきはじめ、遅い!(笑)」

 ――私は森口さんと同じ60年代生まれなんですけど、私たちの世代は外で働く女性が増えて、恋愛とか結婚の優先順位が、ちょっと下がってしまった気が……。

 「そうなんです! そして私がおつきあいしていいなって思った方は、プロポーズしてくれたんですけど、共通してみんな、仕事やめて欲しいっていうんです。でも、これだけ積み上げてきたものを、乱されたくないって思ってしまう。おつきあいして最初は応援してくれてたから、理解してくれてるから理想だなあって思ってたら、やっぱり仕事やめて欲しいとか、自分よりも忙しくしてほしくないなって、ぽそっと」

 ――ああ。

 「周囲の人は、仕事続けてもいいっていう男性、いまの時代たくさんいるよって言ってくださるんですけど、私がひかれる方は、仕事やめてほしいっていう方ばっかりで、こう、バランスが……。理想と自分の現実のバランスが悪いと思うんですよね。うーん」

 

「これは社会現象やが」

 

 ――いまは、結婚については。

 「若いころとは違うんだし、理想ばっかり追いかけててもっていうのはありますね。うんと理想が高いわけでもないんですけどね。たぶん、こだわりが多いだけだと思います(笑)。20代のころみたいに刺激とかときめきとかはなくていいので、ご飯おいしいねって言い合える関係がいいなって。相手を深く信用したいなと思うし、私も信用してほしいなと思うし」

 「福岡の高校の仲良しグループは7人のうち結婚して子供がいるのが3人、独身が4人。結婚してない人数のほうが多いです。独身だからすぐ集えるのか、ずっと集ってるから独身なのか。どっちだろうって話していて、『どっちでもいいんじゃない、社会現象やが、老後もみんな一緒やね』みたいな話をしています(笑)」

 ――いまの生活は。

 「ひとりの時間はありますけど、福岡から母と姉がときどき来て、さみしいっていう環境ではないです。それも、あるのかもしれないですね。4人姉妹の私が末っ子で、2人が結婚して、2人してないです(笑)」

 「いまの生活は楽なんです。いろんなこだわりを受け止めてくれる家族がいて。それぞれのスタイルもわかってるし。この年齢で、まただれかと一から生活するとなると、それこそ、歯ブラシの置き方から、寝室の温度とか、食の好みとか……。私は人生の焦点を全部歌の仕事にあてて生きているので、たとえば、お店に入ったときに、暖房が直接当たるとこはさけたいなとか、そういうのを、ああ、仕事だからねっと受けとめてもらえるかどうか。私ももちろん相手のこだわりとかは、理解したいと思います。お互いめんどくさいことがあるもの同士一緒になって、わたしはそれ気にならないよって言える関係がいいなって思います」

 

結婚への思い 姉に「ぬるいわー」と言われます

 

 ――いい話があったら教えてくださいね。

 「あっはっは。スクープですね。子供のころ、母の教えで、理想の自分をいつもイメージしなさいっていうのがあったので、オーディションにたくさん落ちまくっていたときも、『歌手になりたい』じゃなくて『絶対なる』と思ってたんですよ。『コンサートがしたい』じゃなくて、暇だったころから『する』。全部それで仕事が現実になってるんですけど、結婚だけが全然思い描けてないっていうか(笑)」

 ――仕事と比べたときの思いの強さが……。

 「そうなんです。姉にも『ほんとに(お嫁に)行きたいの?』って言われるんですよ。『危機感持ってるよ』って言っても『いーや、ぬるいわー』って(笑)」

 ――お若いころ、テレビで見ない日がないぐらい忙しかったですよね。

 「レギュラーが週に12本とか。1日テレビ4本レギュラーで駆け回って、プラス歌のお仕事、イベントとか、ラジオとかやってた時代ですね」

 「高校卒業のときに『才能がないから福岡に帰したほうがいい』って言われたんですけど『まだちゃんと見てもらってない』と思って納得いかなくて『なんでもやらせてください』ってお願いしたんです。それでいただいたお仕事がバラエティだったので、顔と名前を覚えてもらおう、すべては歌につながる、と思って全力でやりました。それは今も変わりません」

 ――その時代を考えると、ずっと自由度が上がったんじゃないですか。

 「ごはんがおいしいと実感できる時間があります。あの時代はご飯はガソリンだったんですよ。食べるくらいなら寝ていたい。ご飯食べながら寝て、おみそ汁をひざのうえ上にこぼしてアチーってなって目が覚めたりとか」

 

デビュー曲が1位に。泣けちゃいました

 

 ――最近のお仕事は。

 「積み重ねてきた仕事がひとつひとつ結果につながっていってます。私は33年前のデビュー曲が『機動戦士Zガンダム』のテーマソングだったんですけど、去年は、NHKの『全ガンダム大投票40th』というのがあって、ガンダム40年の歴史の中で360曲以上あるテーマソングの中から、私のデビュー曲が1位に選ばれたんです。もう、魂ふるえる喜びでした。泣けちゃいました。新曲もレコチョク1位に!」

――ちょっと、涙腺弱くなってきてますか。

 「昔から涙もろかったんですけど、もう、しょっちゅうしみじみしてます。私は人とのふれあいが大好物で。それぞれドラマを抱えて、みんな生きる喜び悲しみ、ひとには言えないつらいこともきっとあると思うんですよね、お互い。それを乗り越えて、ここまで生きて来たんだねって。生かされてるんだって。そこに音楽があって、それが、少しでもその人の背中を押したりとか、よりそう存在になれてるんだなと思ったら、私ほんとに生まれてきた意味っていうのがここだったんだなあって、思いがあふれ過ぎちゃうというか。基本暑苦しいですね。だからブログも長くなっちゃう」

 

生涯現役歌手。乗りこえてきた自分を信じて

 

 ――理想は、生涯歌うことですか。

 「はい。やる気と体力は反比例してるかもしれませんけど。ちょっと前までは、ふりかえって『あのころ若かったな』って思ったんですね。写真を見ても、肌にハリがあるなとか、体力も今よりあったなとか。でも、これから残りの人生で最後の眠りにつく日から今の自分を見たら、いつでも今日が初日なんですよね! いつでも今がいちばん若いじゃない?って気付いたら、すごくエネルギーが出てきました」

 「ライブでお客様とエネルギー交換をするのが最大の居場所です。音楽は生命線です。そのために、体も鍛え、心の筋肉も……。ファンのみんなは、私の今を受け止めてくれてる。なつかしい曲も、17歳の声より、いまの大人の声で歌う歌唱力のほうが好きですって言ってくれるのが、すごくボーカリスト冥利に尽きるというか。聴いてくれた人の生きる力につながる、生涯発展途上の現役歌手であり続けたいです」

 「私、厄年のときに一生分つらかったんです。仕事も体調も恋愛も人間関係も全部。結局、支えてくれたのは家族で。笑ってなさい、口角を上げてなさいって言われて笑うようにしていたら、いろんなことに感謝できた。運勢も風邪をひくことがありますが、そうやって乗り越えてきた自分を信じて、次のチャンスにちゃんと表現できる強い自分で準備していたいと思います」

 ――長時間どうもありがとうございました。

 「話してて、気合が入ってきました(笑)」

 (聞き手・森川暁子=「シングルスタイル」編集長)

     ◇

 もりぐち・ひろこ 1968年、福岡市生まれ。17歳のときアニメ「機動戦士Zガンダム」の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビュー。紅白歌合戦に91年から6年連続出場した。バラエティー番組で活躍する「バラドル」として注目を集め、舞台やラジオでも活動。3月10日に東京・銀座ケントスで早見優さんとライブを予定している。

437636 1 シングルスタイル 2019/02/10 05:00:00 2019/02/12 16:44:26 シングルスタイル・タレントの森口博子さん(1月22日、東京都千代田区で)=岩佐譲撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190212-OYT1I50026-T.jpg?type=thumbnail

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